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「地方に多いホームセンター」が都会進出を狙う訳 人口減少が進む中、大手を軸に再編が進行

東洋経済オンライン / 2024年7月23日 8時30分

なかでも象徴的な存在が、2000年当時の上位のうち4社が合流している現在の業界2位DCMホールディングスであろう。まずは、ホーマック、カーマ、ダイキが経営統合して誕生したこの企業は、統合により縮小市場での生き残りを図り、これまでにも多くの大手、中堅ホームセンターをグループに迎えて大きくなった。

こうした動きは他社にも波及している。アークランズは大手企業同士の統合、アレンザホールディングスは中堅中小ホームセンターの複数統合によって生まれた企業であり、こうした同業同士の合従連衡によって、かなり寡占化が進んできた。

ただ、このような同業間の再編も上位集約度が7割を超え、選択肢が乏しくなってきており、近時は異業種、隣接業種とのアライアンスも散見されるようになってきている。

カインズは東急ハンズを子会社化

2022年にDCMがグループ化したエクスプライスは、家電を中心とするECサイトの企業である。家電という隣接ジャンルであり、ECとリアル店舗の相互送客を企図したアライアンスだという。コーナン商事は中堅中小の同業(ホームインプルーブメントひろせ、ドイト、ビーバートザン)のグループ化も進めながら、プロ向け建材ショップ、建デポの買収を行い、コーナンPROで取り組んでいたプロ向け部門の拡大を加速した。

また、同業のM&Aはしてこなかったカインズも、都市型DIY、雑貨ショップの老舗、東急ハンズ(現ハンズ)を子会社化している。こうしたM&Aの相手方の業種はさまざまだが、ホームセンターの本業に隣接する、少しズラした分野の強化ということになる。今後、縮小が避けられない、地方、郊外の住生活関連需要から幅を広げていこうとする布石なのだろう。

人口減少に伴う市場縮小の影響を軽減するためには、大都市部への進出も選択肢としてあるが、ホームセンター業界では広い売り場と駐車場、その割に低い売り上げという業態特性から、そのハードルは高い。

また、ホームセンターには都市型が、ほとんどいないため、他の同業を統合していったとしても、市場縮小スピードを緩和する効果がない。都市部マーケットへの進出を目指すなら、基本は新業態を開発しなければならず、それは言うほど簡単ではないため、いまだ実現したホームセンターはない。

かつてDCMは都市型に近い立地に展開する島忠(埼玉県)とのアライアンスを目指したが、家具インテリア雑貨の雄、ニトリにさらわれてしまった。そうした中で、カインズが、ホームセンターではないが都市型DIY、雑貨ショップのハンズをグループ化したのも、都市部業態開発への足掛かりと解釈すべきであろう。

カインズに対抗するために大手企業3社が経営統合

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