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ある日突然「サービス遮断」、クラウドの落とし穴 解決に2カ月、AI自動審査が思わぬネックに?

東洋経済オンライン / 2024年7月23日 8時0分

日々の仕事やプライベートでも、当たり前に使われているクラウドサービス。しかしサービス運用にAIが積極活用されている近年、ある日思わぬアクシデントに遭遇する可能性もある(写真:Gettyimages)

“クラウド活用”という言葉が、仕事術の1つとして注目されたのは昔の話だ。今や誰もが、まるで水道の蛇口をひねるようにクラウド上のサービスを情報の泉として活用している。

しかし、あまりに当たり前であるがゆえにそのサービスに依存しすぎていると、思わぬ落とし穴にはまってしまう。とくにサービス運用にAIが積極活用されている近年、一度落とし穴にはまると、なかなか抜け出すことができない厄介な事態となりかねない。

今回取り上げる事例は、身近な人物に起きた、身近なクラウドストレージサービスにおけるアクシデントだ。サービスを提供するプラットフォーマーの幹部に直接訴えたうえでも、解決までに実に2カ月もの時間を要した。

細かくこのケースを追っていくと、問題の“根っこ”と言えるテーマがいくつか浮かび上がってきた。その背景にあるリスクはさまざまなクラウド型サービスに内在しているもので、同様のアクシデントはいつ誰にでも降りかかる可能性があるのだ。

突然遮断されたファイルへのアクセス

今年1月30日のこと。筆者は知人である大学教授から、助けを求めるメッセージを受け取った。教授はテクノロジ業界にも造詣が深い人物だ。

教授は10年以上、仕事で扱うデータを複数のコンピュータから利用できるよう、アメリカ系のクラウドストレージサービスで管理してきた。ごく一般的なクラウドストレージのユースケースと言えるだろう。なお、この教授はクラウドサービスをあくまで個人的に利用していたのであって、大学のシステム部門とは直接関係ない。そのため大学名などを伏せることをご容赦いただきたい。

ところが1月28日に突然このクラウドサービスが同期しなくなり、いっさいのデータにアクセスできなくなったという。授業に使う資料やプレゼンデータ、学生の提出物、蓄積していた重要な動画や写真などにもアクセスできなくなった。

端末内に同期してあるローカルストレージのファイルにもアクセスできない。再ログインを試みてもパスワードを拒否され、「このアカウントは非アクティブとしてマークされています」と表示されるのみ。アカウント乗っ取りではないかと疑いつつ、パスワードの再設定を試すも、その要求も拒否された。

業務に支障が出始める中、2日にわたってサービス事業者のサポートチームに何度も連絡を取ってみるものの、返信がなかったという。

途方に暮れた教授が筆者に連絡したのは、筆者がこのクラウドサービスの日本法人とつながりがあることを知っていたからだ。一縷の望みを託して“直接話せば、何かがわかるかもしれない”と考えたわけだ。すぐに筆者は幹部に連絡を取り、問題解決へ向けての快諾をもらった。

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