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「米国株の堅調」は政権がどちらに転んでも続く 「トランプ返り咲き」なら高インフレになる?

東洋経済オンライン / 2024年7月23日 10時30分

「第2次トランプ政権が誕生する」と決めつけるのはまだ早い。だが米国株はどちらの政権になっても堅調が続きそうだ(写真:ブルームバーグ)

今回は筆者の約3カ月前の記事の振り返りから始めよう。「5月以降の米国株は意外に底堅く推移しそうだ」(4月30日配信)では、4月に調整色が濃かった米国株の今後について、楽観的な見方を示した。

見えた9月利下げ、インフレ制御に成功しつつあるFRB

このときはアメリカで長期金利(10年債利回り)が一時4.7%台まで上昇する中で、大型ハイテク株などが調整していた。だが筆者は同国の年初の高インフレは一時的であり落ち着くと予想、「長期金利の上昇は続かず、FRB(連邦準備制度理事会)に対する株式市場の信認は保たれる」と考えた。

実際、5月以降に発表されたアメリカのインフレ指標は、筆者が想定していた通りに落ち着いた。直近の7月11日に発表された6月分のCPI(消費者物価指数)も、食料品とエネルギーを除いたコアベースで前月比+0.1%と極めて低い伸びに減速した。特に、前月まで高止まりしていた家賃の伸びの低下が顕著で、インフレが鎮静化しつつあることを強く示唆する結果だった。

これに先だって、ジェローム・パウエルFRB議長は、7月9~10日に開かれた上下院の各公聴会において、利下げ開始の時期について聞かれた際、自らの考えを示さなかった。ただ、高インフレへの対処だけではなく、最近の労働市場の減速にも配慮する必要があるとの考えを示し、また現在の政策金利について、「極端に高すぎるわけではないが、経済活動には抑制的である」と評価した。

これらの発言を踏まえると、筆者が4月から想定していたとおり、パウエル議長らは9月17~18日のFOMC(連邦公開市場委員会)での利下げ開始を考えていると推察する。年初時点の想定からはやや先送りされているが、経済の安定成長とともに、「インフレ制御に成功しつつある」という大きな構図は変わっていない。

FRBによる利下げ開始への期待などを背景に、アメリカの長期金利は7月に入り4.2%付近まで低下した。

株式市場では前週の後半こそやや波乱となったものの、S&P500種指数は史上最高値を更新、7月16日には終値で5667ポイントをつけるなど、年初時点の市場参加者の予想レンジのほぼ上限まで達している。経済の安定成長が続き、インフレが落ち着けばFRBの政策発動余地が増えるので、現在のような株高が続くのは自然だと筆者は考えている。

大型ハイテク株が下落しても、米国株のリスクは限定的

一方で、2024年のこれまでの米国株の上昇は、生成AI向けの半導体市場で独り勝ちを謳歌している、エヌビディアを中心とした、いわゆる大型メガキャップ(時価総額が極めて大きい)銘柄の株高で多くが説明できる。「生成AIという技術革新」への漠然とした期待が株式市場で広がる中で、一部企業の株高が際だっており、ITバブル崩壊直前の1999年や2000年の状況と比較される。

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