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兵庫「おねだり知事」なぜそこまで勘違いできたか 雇われに過ぎないのに…首長による私物化は他にも

東洋経済オンライン / 2024年7月23日 18時30分

総務官僚出身者が首長を務めることは珍しくないが、兵庫県でもそうだった。総務省出身としては斎藤氏が初めてだが、5期務めた前任の井戸敏三氏(在任2001〜2021年)や、その前任である貝原俊民氏(1986〜2001年)は旧自治省。さらにさかのぼると、坂井時忠氏(1970〜1986年)、金井元彦氏(1962〜1970年)も、旧内務省の官僚だった。「総務官僚出身だから」と、ひとくくりにできるわけではないが、斎藤氏の事案をめぐっては、その関連性を指摘する反応も出ている。

官僚は一般的に、エリートと扱われがちだ。だからこそ選挙において「看板」となり得て、当選に近づくわけだが、それが勘違いの温床になる側面もある。有権者は行政経験や、政府とのパイプといった要素を求めて、「官僚」へと一票を投じると思われるのだが、「オレ」が信託されたのだと錯覚してしまえば、そのギャップがあだとなる。

そもそも知事のような首長は、あくまで「雇われ社長」に過ぎない。オーナー企業として筆頭株主のような権限を持つわけではなく、納税している住民一人ひとりが養っている存在だということを忘れてはならない。

過去の事例

とはいえ、これまでも「首長による私物化」は、たびたび話題になっていた。例えば2019年には、千葉県市川市で、市長らの公用車として、「テスラ」の電気自動車を導入した。気候変動対策を理由にしていたが、リース代金が高額だったこともあり、市内外からの批判にさらされ、結局リース契約は解除となった。また、市長室内に総工費約360万円のシャワー室を設置したことも問題視され、任期満了後に再選を果たせなかった。

市川市の件は「税金の使途として適切なのか」といった文脈だったが、「自費であっても業務として適切なのか」が問われるケースもある。シャワー室問題が議論されていた当時、大阪府池田市では、市長室に家庭用サウナが持ち込まれた。自費で設置されたものではあったが、執務エリアを私物化している不適切利用だと問題視された。あわせてパワハラ疑惑なども浮上し、百条委員会を経た後に、市長は辞職。出直し選挙に挑むも、最下位で落選した。

市川市の場合は元衆院議員、池田市は元市議、そして今回の兵庫県知事は元官僚と、当選までの経歴は異なるものの、その不祥事には通底するものを感じさせる。思惑は本人のみぞ知るだろうが、どこかに「選挙で選ばれたのだから、少しは勝手にさせてもらっていいのでは」という、おごりがあったのではないだろうか。

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