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兵庫「おねだり知事」なぜそこまで勘違いできたか 雇われに過ぎないのに…首長による私物化は他にも

東洋経済オンライン / 2024年7月23日 18時30分

時代によっても、受け止め方は変わるだろう。失われた30年を経て、冷え切った経済状況の中では、維新の会が掲げるような「身を切る改革」が一定程度求められている。政治家たるもの清貧であるべきだ、という価値観が、それなりに定着する昨今では、少しでも特権意識が透けてしまうと、嫌悪感を示したくなるのも当然だ。

特権意識が透けた例として、直近では前静岡県知事が浮かぶ。県庁職員に対する訓示で、職員を「知性の高い」存在として評しながら、「毎日毎日、野菜を売ったり、あるいは牛の世話をしたりだとか、あるいはモノを作ったり」する人々とは異なると発言。「職業差別ではないか」と批判が巻き起こり、辞任を余儀なくされた。

筆者は当時、東洋経済オンラインで「川勝知事『知性の高い』発言がマズいこれ程の理由」と題したコラムを書いたが、そこでは背景にある問題点のひとつとして、「にじみ出る『上から目線』」があると指摘していた。職業による上下、県庁職員と県知事の上下、市長と県知事の上下……などと、本来対等であるべき立場に対しても、どこか居丈高な姿勢を見せてきたことが、「知性の高い」発言に通じたのではないかとの考察だった。

強い言葉やリーダーシップに期待も

一方で、最近では「強い首長」に、現状打破を求める流れもある。元大阪府知事・元大阪市長の橋下徹氏しかり、元兵庫県明石市長の泉房穂氏しかり、目的遂行のために、強い言葉やリーダーシップを期待する。先日の東京都知事選挙で、石丸伸二氏が票を集めた背景にも、そうした価値観があるだろう。

斎藤氏に話を戻すと、パワハラの有無を検証するまでもなく、ワインをめぐるやりとりと、受け取った事実を認めたことだけでも、「県政を私物化しているのでは」といった疑念が浮かんでしまう。

各種報道では「おねだり知事」と、比較的ポップな表現で伝えているが、仮に事実なのであれば「立場を利用して利益供与を求める政治家」だ。少し書き方を変えるだけで、そのイメージは大きく変化する。死者も出ている現状では、報道も厳格化したほうがいいように思える。

都道府県知事や、市区町村長には、それなりの権限がある。議会の議決を経なくても、一定程度の専決処分も認められている。だからこそ、有権者は「税金の使途を差配する人物として、適性があるか」と、しっかり見極めることが重要となるのだ。

城戸 譲:ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー

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