新幹線開業で変転、JR九州の特急「783系」の足跡 現在も「みどり・ハウステンボス」として活躍
東洋経済オンライン / 2024年7月24日 7時3分
鉄道ジャーナル社の協力を得て、『鉄道ジャーナル』2024年9月号「783系誕生の奇跡と波乱の旅路」を再構成した記事を掲載します。
「かもめ」去るも、「ハウステンボス」はリニューアル
今回は1987年の国鉄分割民営化から1年後に、全国のJR各社に先駆けて送り出された新型特急車両であるJR九州のハイパーサルーン783系の足跡を追った。その中から、九州新幹線全線開業時以後の動向と近況を紹介しよう。
【写真を見る】783系とはどんな車両?アクセントカラーを緑色とする「みどり」編成、早岐で分割併合を行う「ハウステンボス」と「みどり」
2011年3月12日、九州新幹線は全線開業を迎えた。新八代―鹿児島中央間開業(2004年3月)以降の鹿児島本線特急は787系による「リレーつばめ」と「有明」だったが、朝夕の「有明」を残していずれも消え、その787系が他線に転じる。
つまり、博多―鳥栖間の線路容量に余裕ができたことで、長崎・佐世保線特急は「かもめ」と「みどり・ハウステンボス」に分離、独立した「かもめ」に「リレーつばめ」用だった787系が入り、単独運転の「みどり」の一部も担う。長崎・佐世保線方面の783系は「かもめ」での運用が消え、基本的に「みどり・ハウステンボス」関係だけとなった。
「かもめ」用5両編成の783系は、「有明」用の787系とともに南九州に転用された。これらにより485系は国鉄時代から続く活躍を終えた。また、夜行列車衰退の流れで「ドリームにちりん」も廃止(ドリームつばめは九州新幹線部分開業時に廃止)となり、783系の活躍の場がまた1つ減った。
一方、それまで日豊本線用だった編成は4両に減車の上で「きらめき」や「かいおう」、佐賀発着の「かもめ」、「有明」などの通勤特急に適宜運用されている。「有明」への登板は11年ぶりだ。「きらめき」は、門司港直通だった一部の「リレーつばめ」の北九州方面だけを残す形で増発された。だが、783系の使用実態としては、どこか隙間風が吹き始めた感覚がする。その後、長年編成から外されていた中間車のモハとサハ計4両が2016年12月に廃車となる。783系初の廃車であり、90両だった総数は86両となる。つまり2011年3月改正は783系のターニングポイントだった。
とはいえ2017年、「ハウステンボス」編成についてもう一度のリニューアルが行われ、華となった。オランダの街をテーマとするハウステンボスの25周年を記念するもので、2018年度にかけて4両編成5本全車に施工された。外観はオランダ王家のシンボルカラーであるオレンジ一色になり客室はモダンな感覚から、木もふんだんに使ったクラシック調に改まった。
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