浦和レッズ、売上高100億円突破後の次の一手 田口誠社長が見据える経営戦略と将来ビジョン
東洋経済オンライン / 2024年7月24日 11時0分
過去の記録を紐解くと、元日本代表の長谷部誠(フランクフルトU-21コーチ)や田中マルクス闘莉王、阿部勇樹(浦和ユースコーチ)ら屈指のタレントを擁した2008年に1試合平均4万7609人という驚異的な記録を残しているが、コロナ禍後ということを考えれば悪くない数字と言っていい。
しかも、シーズンチケット保有者は2万人超いて、更新率が毎年95%を超えている。15年以上の継続者も1万以上おり、熱心な固定客に支えられているかがよくわかる。
「2008年前後は、週末の埼玉スタジアムはつねに満員に近い状態でしたけど、売上高は70億円規模だった。やはりパートナー営業強化が収入規模の引き上げに大きく寄与しています。
2008年のスポンサー収入は24億円程度でしたが、2023年は42億円を超えている。それはコロナ禍にテコ入れを図った営業活動によるところが大でしょう。1年間でパートナー企業が5社増加し、レッズビジネスクラブ(RBC)というクラブをサポートいただく企業の組織体への加盟も48社増えました。
2018年から始めた『パートナー紹介制度』を通して、埼玉りそな銀行さんから約100社を紹介いただき、行政書士や医師会など地域に即した法人の協賛が増えたことも基盤強化につながった。やはり地元の応援というのは何よりも大きな力になる。非常に心強いですね」と田口社長はしみじみと言う。
こうして浦和レッズの経営は右肩上がりで推移したが、2024年はやや厳しい展開になっている。昨季J1・4位ということでACLには参戦できず、FCWCは開催されない。天皇杯も昨年のサポーターによる暴力行為の制裁で参加権利剥奪となってしまった。残された2つのタイトルも、ルヴァンカップは1stラウンド3回戦で敗退。J1も24試合終了時点で10位と苦戦を強いられているのだ。
2024年は将来に向けた投資の年
そんな中、クラブOBの西野努テクニカルダイレクターが退いて、同じOBで40代の堀之内聖スポーツダイレクター(SD)が就任。シーズン折り返しの6月にはキャプテン・酒井宏樹、副キャプテンのアレクサンダー・ショルツ(アルワクラ)、ベテランの岩尾憲(徳島)ら主要選手が立て続けにチームを去った。現在はペア・マティアス・ヘグモ監督や新キャプテンの伊藤敦樹中心に立て直しを図っているが、現場の急激な変化に対してさまざまな懸念や不安の声が寄せられているのも事実だ。
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