浦和レッズ、売上高100億円突破後の次の一手 田口誠社長が見据える経営戦略と将来ビジョン
東洋経済オンライン / 2024年7月24日 11時0分
田口社長は反響の大きさを受け止めつつ、「2024年は変革と投資の年」と強調。新たな体制強化に注力する構えだ。
「2024年は前年のように賞金がなく、試合数も減ることを考えると、入場者数こそ堅調に推移しているものの、2年連続100億円超は難しいと見ています。
けれども、我々には2025年から新たな形でスタートするFCWCの出場権がある。来年夏に第1回がアメリカで行われる予定で、32カ国が参加します。出場賞金だけで数十億円という情報もある中で、クラブ経営や現場の成長にとっては大きなプラスの機会になる。そこから逆算して、チームもクラブも強固な体制を築き上げていかなければいけない。今はできるだけのことをやるつもりでいます」
前身の三菱重工業時代にDFとして活躍した田口社長のレッズ愛は非常に強い。少しでも経営面にプラスになることを探すべく、今年2月には「成長推進室」を設置。物事を迅速かつ的確に動かせるように仕向けたという。
「今、レッズには契約スタッフを含めると約200人が働いていて、複数の部署がある。何かアクションを起こそうとすると、少し時間がかかる印象を持っていました。そこで、社長直轄のこの組織を立ち上げ、清水稔副社長を中心に、中長期的な方向性を探っているところです。
クラブ内には『フットボール委員会』というのもあって、トップチームとアカデミーの現状把握や課題整理を進めています。毎回白熱したディスカッションが繰り広げられている。みんなクラブをよくしたいという情熱に満ち溢れていますね」と田口社長は感心する。
地域密着のための施策作り
当面の経営的な課題をいくつか挙げると、まずは地域密着の強化。少子化の時代にあって、クラブの本拠地・さいたま市は人口増に転じている数少ない地域。特に埼玉スタジアムのある美園地区は住宅や学校が次々と建設され、若いファミリーも増えている。
「コロナ禍があって、特に20代以下の若い世代にとってはスポーツなどのリアル体験が不足していると感じています。そういう人々に身近な埼スタに足を運んでいただき、サッカーやレッズの魅力を感じ、ファンになっていただきたい。安全・快適で熱気ある満員のスタジアム作りの実現に向けて、可能な施策を出し合っているところです。
我々は埼玉県と一緒に埼スタの指定管理者に名を連ねていることもあり、試合日はもちろんのこと、試合開催日以外にも埼スタを楽しんでいただける試みを模索しています。
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