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「平気でウナギを食べる人」が知らない資源の実態 ウナギをいつまでも食べ続けるためには

東洋経済オンライン / 2024年7月24日 11時30分

うな丼(写真:筆者提供)

毎年夏になると、土用の丑の日の食べ物として話題になるウナギ。中国からの輸入物の増加で、20年ほど前に大幅に価格が下がっていましたが、今では再び高止まりしています。

【画像でわかる】ウナギの価格はどれほど上がった?

ニホンウナギが絶滅危惧種に指定され、稚魚の密漁など暗い話も多くあります。ウナギをいつまでも食べ続けるためにはどうしたらよいのでしょうか?

このままではウナギ資源は戻らない

ウナギ資源が回復する気配はありません。冷静に考えれば簡単にわかることなのですが、成長して親になる前に魚を獲ってしまったら、卵を産む親の数が減って資源が減少します。これを「成長乱獲」と言います。ウナギ漁はシラスウナギ(ウナギの稚魚)を獲る漁が主体なので、まさにこれに当てはまります。

夜間に集魚灯を使って、光に集まったシラスウナギをすくい獲るのが主な漁法です。漁獲されても群れが大きくて、大量に川を上っていけるうちはよかったのです。しかしながら資源量が減って小さくなった群れに対して多くの網が狙えば、資源量がどんどん減るのは理の当然です。

獲れなくなって供給が減れば価格は上がるので、さらに少なくなった群れを多くの網ですくうことになります。川を上って親になることが許されず、成長乱獲で資源をつぶしてしまう。親になって再び川を下って産卵する親のウナギが減るので、産卵量も減る——どうしようもない悪循環です。

成長乱獲が起きて大不漁となっているケースは、サバ、ノドグロ、イカナゴなどをはじめ後を絶ちません。わが国ではこの悪循環が、「海水温上昇や外国が悪い」と責任転嫁されることが普通になっています。国際的常識と乖離していて、水産資源管理についてあまり理解されていないことも大きな問題です。

ウナギを大量に買い付けた結果

かつて中国で大量に加工して日本に輸出されていたヨーロッパウナギ、ニホンウナギ、東南アジアで獲れるビカーラ種、アメリカで獲れるロストラータ種(準絶滅危惧種)など、世界のウナギの資源は、大半が絶滅危惧種になってしまっています。

その背景にあるのは、日本での大きな需要と高値でウナギを仕入れる購買力です。乱獲で資源が減って、養殖に使うシラスウナギの価格が高騰し、さらに少なくなった資源を獲り尽くして絶滅危惧種にしてしまうという悪循環が止まりません。

ウナギの資源が枯渇状態から回復できない理由の1つに密漁があります。国は水産流通適正化法により違法水産物に対する罰則の強化を図っていますが、シラスウナギは2025年から対象となります(3年以下の懲役または3000万円以下の罰金)。

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