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MUFGが役員21人処分、「法令順守」置き去りのツケ 収益強化の一方で、現場ではコンプラ軽視が横行

東洋経済オンライン / 2024年7月24日 7時2分

法令違反に役員が関与していたことも衝撃を与えた。顧客の同意なしに銀証間で情報を共有していた事例では、当時の三菱UFJ銀行の専務や代表取締役、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の代表取締役が関与していた。

今回の処分では、現役の社長・会長に加え、法令違反に関与した役員OBも報酬の一部を返上する。中でも目を引くのがMUFGの三毛兼承会長の処分内容だ。

ほかの役員の報酬返上期間が2~3カ月なのに対し、三毛会長は5カ月と1人だけ長い。前述の三菱UFJ銀行の代表取締役は三毛氏(当時は頭取)とされており、直接の関与者としてより重い処分となった。

亀澤社長は、三毛氏について「三毛は法令違反をしていないが、本人としては非常に反省している。管理責任を重く受け止めている」と話す。

MUFGは今後、銀証連携を成長戦略の要諦に据えつつ、再発防止策として前述したダブルカウント目的での銀証連携の排除やモニタリングの強化、役職員への研修、人事評価制度の見直しなどを行う。

なお続く監視委の調査

気がかりなのは、法令違反問題がこれで幕引きとなるかわからないことだ。

証券取引等監視委員会は、元行員が業務上で知ったTOB(株式公開買い付け)などの情報を親族に漏らしたインサイダー取引の疑いを引き続き調査している。この疑惑は、銀証連携にまつわる法令違反を調査する過程で監視委が検知した「副産物」だ。

しかも、元行員は三菱UFJモルガン・スタンレー証券への出向経験があった。銀証間の違法な情報共有だけではなく、第三者への情報漏洩によるインサイダー取引にまで焦点が広がれば、事態はより深刻になる。

「カルチャーの問題だとは捉えていない」。一連の法令違反について亀澤社長は、あくまで個々の役職員の意識や内部管理体制が問題の原因だとし、「収益を優先する組織風土」という見方を打ち消した。

だが、違法な情報共有が認められた事案は十数件に上り、個々の役職員の暴走では説明がつかない規模だ。

法令順守を置き去りにしたことで、成長戦略の要諦だった「銀証連携」は今や十字架としてMUFGに重くのしかかっている。

一井 純:東洋経済 記者

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