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「トランプ再選」で日本はさらに貧乏になるのか 日本人がわかっていない経済的な影響

東洋経済オンライン / 2024年7月24日 7時0分

それどころか、いくつかの選挙区では雇用が減った。これは、鉄鋼の雇用増加分が、自動車や家電製品のような鉄鋼を消費する産業の損失によって相殺されたためである。

何年もの間、日本のリーダーたちは、共和党を開放貿易の推進者と見て好んできた。しかし、それは共和党の献金者のスタンスに過ぎなかった。実際、2021年のギャラップ世論調査によると、輸入品を脅威とみなす共和党支持者は民主党支持者では18%だったのに対して、共和党支持者では51%に上った。

日本の半導体製造装置メーカーを含むハイテク株は、トランプ大統領が「もし自分が彼らだったら、今はそれほど安心できないだろう」と台湾防衛に対するアメリカのコミットメントを切り捨てたことに動揺した。台湾有事は世界経済を大きく揺るがしかねない。

実際、トランプはこんな発言をしている。

「彼ら(台湾半導体製造公社=TSMC)は我々の半導体産業のほぼ100%を奪った……そして今、彼らがこの国で半導体を製造するのにも数十億ドルを出資していて、それももっていくつもりだ。言い換えれば、ここで工場を設立しても、彼らはすべてを自分の国へ持って行ってしまう」

トランプが純粋に信じている政策スタンスは多くないが、経済ナショナリズムはその1つだ。彼の新たな貿易戦争は、過去をしのぐものになると見られ、世界の供給網を混乱させ、計り知れない影響を及ぼす可能性がある。

何でもかんでも関税を課す可能性

同時にトランプの関税政策は、アメリカのGDPにも16%という大きな影響を与えるだろう。必要不可欠な部品が手に入らなくなったり、価格が突然2倍になったりしたらどうなるだろうか?2011年の東日本大震災で世界中の自動車生産が中断されたときを思い出してみてほしい。

日経アジアの報道によると、iPhone 15 Pro Maxのコストの10%は日本製の部品だ(これはアメリカ33%、韓国29%に次ぐ)。だが、ほとんどが中国で組み立てられていることから、ほぼすべての部品に60%の関税を課す可能性がある。

1期目は中国がトランプの主な標的だったため、日本の通商関係者の何人かは「安心した」と語っていた。だが、今回日本はさらに大きな「巻き添え被害」を被るだろう。日本の対中輸出は、中国の対米輸出にかかっているからだ。

過去四半世紀の間、日本の対中輸出の伸びと中国のGDPには50%の相関関係があった。しかし、日本の対中輸出と中国自身の対米輸出の間には、75%というはるかに大きな相関関係があった。韓国とユーロ圏も同様である。日本の輸出と韓国のGDPの伸びには50%の相関関係があるが、韓国の対米輸出には74%の相関関係がある。

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