「トランプ再選」で日本はさらに貧乏になるのか 日本人がわかっていない経済的な影響
東洋経済オンライン / 2024年7月24日 7時0分
エコノミストの大半は、トランプの政策がインフレを復活させ、FRBが現在の予定よりも金利を高く維持せざるをえなくなると考えている。
エコノミストによって影響の大きさは異なるが、広く尊敬されているマーク・ザンディは「トランプの政策は2025年のCPIインフレ率を1.2%ポイント押し上げるだろう」と見積もっている。FRBのインフレ目標がわずか2%であることを考えると、これは大きな数字だ。
金利上昇は、投資家が日本からアメリカや他の裕福な国へ資金をシフトさせるため、円安をもたらす。円安はひいては実質賃金の下落を意味し、ひいては個人消費の減少を意味する。
日本総合研究所によると、1年間で10%の円安が進むと、大手製造業の従業員年収は5.7%上昇するという。輸出と利益を押し上げるからだ。一方、サービス業では2.1%減、中小企業では1.9%減となる。日本の従業員の70%以上は中小企業で働いている。
インフレは一段と加速する
トランプの政策は3つの点でインフレを引き起こすだろう。
まず第1に、トランプの関税は1世帯あたり1700ドル(約26万円)相当の物価上昇をもたらす。
第2に、トランプは2025年末に期限切れとなる2017年の富裕層減税の一部を延長する予定だ。また、2017年に35%から21%へ恒久減税した法人税を15%から20%へと引き下げたいとしている。
これらの減税により、アメリカの財政赤字は年間約5000億ドル、GDPの2%拡大する。すでに完全雇用状態にあるときに財政赤字を拡大すれば、物価が上昇する。
最後に、トランプは労働力不足、特に労働集約的なサービス業において、約400万人の不法移民を強制送還しようとしている。
トランプのアドバイザーの中には、さらに無謀な姿勢を提案する者もいるが、その実現は不透明だ。大統領に金利政策に関する発言権を与えたり、金融機関を規制するFRBの権限を縮小したりして、FRBの独立性を低下させる方法を見つけようとしている者もいる。
大統領にこれを実行する政治的・法的能力があるかどうかは不明だ。もしそれが実現すれば、アメリカの金融政策に対する信頼は大きく低下し、金融市場のボラティリティはさらに高まるだろう。
副大統領候補のJ・D・バンスや前USTR(アメリカ通商代表部)代表のロバート・ライトハイザーなど、ドル安を推進する人物もいる。ライトハイザーは現在、トランプ派のアメリカファースト政策研究所の通商部長を務めている。もちろん、前述したように、トランプの財政・金融政策は実際にドル高をもたらすだろう。
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