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秋に発売「スズキの新型SUV」は期待できるか? 「フロンクス」試乗でわかった開発陣の本気

東洋経済オンライン / 2024年7月25日 14時0分

それにより、レーンチェンジやコーナーリング時のロール、荒れた路面での乗員の揺れを抑えつつ、マンホールや橋の継ぎ目のような段差通過時のショックを低減した乗り心地を実現している。また、直進走行時のステアリングの中立位置がわかりやすく、安心感のある操舵力特性も得ている。

こうした走りの良さは、フロンクスだけで成立するものではない。「スイフト」など、走りの良さに定評のあるスズキ各モデルで培った知見が、脈々と受け継がれ、実現したものだ。

バレーノでの反省を生かして

次いで、4輪駆動モデルに乗った。後輪に駆動力を伝えるドライブシャフトなどによる重量増があるため、上り坂ではFF車と比べて、トランスミッションがキックダウンするタイミングが、若干早いようだ。だが、クルマの動き全体としてみれば、決して重ったるい印象はない。

コーナーリングでもFF車と同様、実に素直に旋回するし、エントリークラスの4輪駆動にありがちな、ステアリングの抵抗感が増す感触もない。あくまでも、ハンドリングの手応え感が、しっかり出ている。

こうした日本向けのチューニングが的確に行えるのは、クルマとしての「素性の良さ」があってこそだ。

フロンクスの開発総責任者である、商品企画本部 四輪B・C商品統括部チーフエンジニアの森田祐司氏に話を聞くと、2016年から2020年まで日本で発売された、インド生産の「バレーノ」の話が出た。

同氏はバレーノの開発も担当しており、日本でのバレーノは販売が伸びなかったことを反省点として挙げた。

インドではちょうどいいサイズのハッチバック車で走りも良かったが、日本では予防安全技術における「乗って安心安全」の観点での装備が不十分だったと分析する。クルマとしての素性は良くても、日本市場での特性にマッチしなかったのだ。

バレーノは2022年にインドでフルモデルチャンジを実施し、日本導入についても検討したが、2020年代に入ってからの日本は、200万円台のコンパクトSUVが拡大市場に。そこで、新型バレーノではなく、2023年にグローバルモデルとして登場したフロンクスを日本向けにチューニングして投入することを決めた。

2代目バレーノとフロンクスは、基本構造を共有しながらデザインによってハッチバックとクーペスタイルSUVに振り分けた形だ。販売国によって、パワートレインの違いがある。

そうはいっても、グローバルモデルを販売する国や地域に応じて作り分けることは難しい。それについて森田氏は、「地域環境の違いは、ユーザーの(商品に対する認識の)違い。日本では初代バレーノでの反省を生かして、日本でも求められることを(改めて)意識した」と、日本での再挑戦の背景を明らかにする。

走りのコスパは極めて高い

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