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RIZAPが業績不振から巻き返すには何が必要か マーケティングの大転換「カスタマーサクセス」

東洋経済オンライン / 2024年7月25日 9時0分

損益計算書は、複雑怪奇なビジネスを読み解くうえで、大変に力強い資料である。会社が儲からない理由を、あまりにもあっけらかんと、明らかにしてしまうからだ。損益計算書は、事業活動をわずかに売上高、売上原価、販管費、そして営業損益という4種類の要素のみで読み解く。そこから見えてくるのは、企業が儲からない理由が、①売り上げが足りないから②売上原価が高いから③販管費が高いから、の3つのどれかでしかない、という単純明快な構図である。

こちらの資料を見れば、誰しもその答えは明らかだろう。RIZAPグループが儲かっていないのはなぜか。販管費が異様に高いからである。多大なTVCMに象徴されるように、広告宣伝費が嵩んでいるのだ。資金調達直後の、成長中のスタートアップでもなかなか目にすることができない割合である。まして、創立から長い年月を経て、上場から15年以上を経た企業で販管費が50%に達するというのは、本当に異例の事態とみてよい。

なぜ、ここまで広告費が嵩むのか。それはもちろん、商品を認知してもらい、買ってもらうためだ。だが、ここにこそ現代マーケティングの大きなゲームチェンジがある。近年では、多額のマス広告を打つことをやめた、あるいは創業当初よりやってこなかった企業が、増えてきているのである。

皆さんは、TVなどのマスメディアで、スターバックスのCMを見たことがあるだろうか。テスラの宣伝を見たことがあるだろうか。iPhoneはどうだろうか。通信キャリアが宣伝をしているのは、見たことがあるだろう。だが、アップルとしての広告は、言われてみれば思い出せないのではないか。広告をほとんど行わない企業は決して少なくない。Amazonも無印良品もTSUTAYAも。気がつけば、かつてはTVCMの常連であったナイキも、ほとんどマス広告を行わなくなった。

しかし、である。我々は上記に挙げた企業のことを、よくよく知っている。CMを見ていなくとも、上記企業には高いブランド価値も感じている。その背景には、私たちはもはやマス広告で製品・サービスを認知するわけではなくなっているということ、そしてまた、私たちは、広告によってではなく製品・サービスによって、企業に対する評価やイメージを固めるようになっていることがある。

私たちは、スタバの広告をほとんど見かけない。だが、私たちはショッピングモールや駅前にスタバがあるのを見て、それを認知する。そして、期待通りの定番商品から、シーズンごとの素敵な新作の魅力、店員の接客、店内の統一された雰囲気までを総合的に経験する中から、同社への好意を高めるのである。

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