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ファナック「創業家プリンス」が突然退職のなぜ 対外的な人事発表はなく、業界に広がる驚きの声

東洋経済オンライン / 2024年7月25日 8時0分

システム営業を担う社員は「ファナックの生産設備とは親和性があるが、顧客が進んで使いたいと思うキラーコンテンツにはなっていない」とこぼす。

稲葉家とかねて親交のある人物は「稲葉会長は(フィールドシステムを)息子の出世への花道にしようとしていたが、うまくいかなかったのでは」と語る。

”白い”ロボットで成果を出す生え抜き

清典氏は今年3月にロボット事業本部長を外れ、会長補佐付になっている。清典氏の後任としてロボット事業のトップに就任したのは、常務執行役員・ロボット研究開発統括本部長の安部健一郎氏だ。

山口賢治社長(55)と同じ1993年入社で、長らくロボット機構の開発に携わってきた、生え抜きの技術者だ。2015年に、執行役員に就任しており、清典氏のそばで仕事をしてきた人物でもある。

安部氏について、前出の取引先部品メーカー役員は「最近はいつ工場に行っても、渉外に対応するのは安部さんだ。一見、物腰柔らかい雰囲気だが、技術のことになると一流だ」と、高く評価する。清典氏が去った今、安部氏を次期社長候補として見る向きも増えているようだ。

安部氏は協働ロボット「CRXシリーズ」の立役者とされる。関連の特許は、安部氏を筆頭者として登録されているが、そこには当時ロボット事業本部長だった清典氏の名前はない。さらにいえば、2018年以降、清典氏がファナックとして出願した特許はなく、ロボットの開発現場から離れていたとも推測できる。

協働ロボットは白く小型で、安全柵を必要とせず人間と並んで作業できることから、中小企業をはじめ、食品やサービス産業など新たな領域での活用が拡大した。2021年に「ロボット大賞 経済産業大臣賞」など、数多くの賞も受賞している。

黄色の「産業用ロボット」で世界4強の一角を占めるファナックが、近年力を注ぐのがこうした白い協働ロボットの拡販だ。7月、名古屋で開催されたロボットの展示会では、ファナックのブースの半分以上を白い協働ロボットが占めていた。

建物も黄色から白色に塗り替え

工場や営業車両、作業用ジャンパーもすべて黄色。創業以来、黄色がコーポレートカラーで知られるファナックだが、最近はロボットだけでなく、建物でも黄色以外が増えている。

ファナック社員によると、新しい建物だけでなく、既存の建物もわざわざ塗り替えているようだ。若手社員が住む社員寮は黄色から「CRXシリーズ」のような白色に緑のラインが入った配色に変わったという。

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