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サイゼ株主優待廃止を歓迎した投資家の意識変化 一部投資家のパニック売りを吸収して株価は急反発

東洋経済オンライン / 2024年7月25日 9時30分

では今後、同社に追随して株主優待制度を廃止する動きが出てくるのでしょうか。ここで、業種を分けて考える必要があります。小売業・外食チェーン・消費財メーカーは、株主優待制度によって株主数を増やすだけでなく、自社のサービス・製品を個人株主に利用してもらうことで自社のファンを増やすことができます。こうした業種では、株主優待制度には企業価値を高める効果があると言えます。

だからといって、現在の株主優待制度をそのまま継続していいということではありません。自社店舗で利用できない株主への対応など株主平等原則への配慮が必要ですし、制度が企業価値を向上させることを丁寧に株主(とくに機関投資家)に説明する必要があります。

問題はそれ以外の業種で、クオカードの配布など自社の事業とは無関係な優待内容が目立つことです。これは、いかがなものでしょうか。

自社の事業と無関係な優待によって自社のファンが増えるわけではないので、企業側の主な目的は、株主数の増加でしょう。個人株主を無理やり増やさないと上場維持基準をクリアできないという企業が、背伸びして上場を維持する意味があるのでしょうか。

また、株価の維持を狙って株主優待制度を導入するケースもあるようですが、その効果も疑問です。個人株主は導入を歓迎しますが、機関投資家は嫌がります。東京証券取引所における機関投資家の影響力の大きさを考えると、株主優待制度はむしろ株価にマイナスでしょう。

このように、株主優待制度に一定の合理性がある小売業・外食チェーン・消費財メーカーでは今後も株主優待制度は継続されますが、それ以外の業種では廃止する企業が増えると予想されています。

株主優待制度はなくなる?

さて、ここからは筆者の推測です。最終的には、小売業・外食チェーン・消費財メーカーも株主優待制度を廃止するようになり、実施する企業は姿を消すと思います。

今回サイゼリヤは、株主平等原則を強調しています。ただ、もう1つ本音として、食事優待券の廃止で店舗の運営効率を改善しようという狙いがあるのではないでしょうか。

株主優待券を導入している小売業・外食チェーンでは、株主優待券や各種クーポン券・ポイントなどに対応するためレジの作業が複雑化し、レジ係にとって大きな負担になっています。

筆者はサイゼリヤなど複数の外食チェーン株を保有していますが、会計時に株主優待券をすんなり利用できるとは限りません。チェーンにもよりますが、かなり高い確率でレジ係が店長やチーフを呼んで「株主優待券ってどういう風に処理するんですか」と処理方法を確認します。

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