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京王新線「新宿の隣」初台駅が放つ独自の存在感 開業時は「改正橋駅」、名前も場所も変わった

東洋経済オンライン / 2024年7月25日 7時30分

まず地上を走っていた時代の線路跡は、「玉川上水旧水路緑道」という名前の遊歩道になっている。商店街が連なる道路と交わる場所には、「改正橋」と刻まれた橋の親柱と高欄のモニュメントがある。

地上時代の初台駅は道路の西側にあり、相対式ホームで、駅舎は新宿駅行きホームの道路側にあった。ホームがあった場所は駐輪場などに活用されている。さらに西に進むと、甲州街道側に富士急行の東京本社ビルがある。地下化された2代目初台駅の頃は、このあたりで地上に出ていた。

周辺には昔ながらの住宅地も

駅舎があった場所は、現在は京王初台駅ビルとなっており、駅の出入り口がある。現在の駅は甲州街道下にあるので、街道沿いの歩道に出入り口を設けたほうが便利そうだが、そうならなかったのは2代目の出入り口を活用したためである。

一方、甲州街道北側の出入り口は、東京オペラシティ地下1階に連絡する東口、新国立劇場の脇およびメインエントランス前で地上に出る北口がある。この2つはいずれも新線になってから生まれた。改札は東口と中央口の2つで、中央口は北口と以前からあった南口につながっている。

駅を降りて地上に出ると、まず目につくのはやはり新国立劇場と東京オペラシティで、最初に紹介した有名企業のビルも望める。ただし新宿駅西口とは違って、高層ビルが林立しているわけではなく、周辺には昔ながらの住宅地が広がっている。

広報部によると2022年度の1日駅別乗降人員は、定期利用が45.9%、定期外利用が54.1%で、ターミナルの新宿駅、井の頭線との乗換駅である明大前駅とは逆に、定期外利用者のほうが多い。オペラやコンサートを観るために初台駅を利用する人が、それなりにいるということになる。

筆者は10年以上、この地域にオフィスを構えており、初台駅もひんぱんに利用している。たしかに通勤客も目にするが、新国立劇場や東京オペラシティで催し物がある日は、来場者と思わしき人々が多く訪れることも知っている。実際の乗降客数にもそれが反映していたということになる。

都営新宿線直通の利点

京王新線と都営地下鉄新宿線の相互乗り入れは、境界駅である新宿止まりの電車は稀で、ほとんどが相手線に直通運転する。山手線の外側にありながら、2つの施設が相応の来場者を集める理由の1つとして、都営地下鉄の駅という感覚で利用できることは大きいのではないだろうか。

新国立劇場の建設がこの地に決まったのは、相互乗り入れが始まった後であり、NTT東日本とカシオ計算機の本社ビルは、劇場とほぼ同じ時期に竣工している。上に書いた運行体系が、これらの建造物の誘致を後押しした可能性もある。

その結果初台駅は、新宿駅の隣でありながら、独自の存在感を発揮できている。直通運転の恩恵を受けるのは郊外だけではないことを、この駅は教えてくれる。

森口 将之:モビリティジャーナリスト

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