日本の"現場"を殺した「4なし経営」の重すぎる罰 「賃上げも人員補充もなし…」経営の責任は?
東洋経済オンライン / 2024年7月26日 10時30分
経営コンサルタントとして50社を超える経営に関与し、300を超える現場を訪ね歩いてきた遠藤功氏。
36刷17万部のロングセラー『現場力を鍛える』は、「現場力」という言葉を日本に定着させ、「現場力こそが、日本企業の競争力の源泉」という考えを広めるきっかけとなった。
しかし、現在、大企業でも不正・不祥事が相次ぐなど、ほとんどすべての日本企業から「現場力」は消え失せようとしている。
「なぜ現場力は死んでしまったのか?」「どうすればもう一度、強い組織・チームを作れるのか?」を解説した新刊『新しい現場力 最強の現場力にアップデートする実践的方法論』を、遠藤氏が書き下ろした。
その遠藤氏が、「日本の"現場"を殺した『4なし経営』の重すぎる罰」について解説する。
長期にわたる「4なし経営」が現場力消滅に大きく影響
私は過去30年以上にわたり、日本企業の現場を300以上訪ね歩いてきた。
【図1枚でわかる】日本の"現場"を殺した「20年間日本企業が行ってきた『4なし経営』」の中身。「これでも本当に「経営」と言えるのか?」
「現場の人たちとの直接的な触れ合いを大事にしたい」と思い、いまも経営顧問先の現場やコンサルティングを行う企業の現場を訪ね歩いている。
「現場力」こそが、日本企業の競争力の源泉であると信じてきた。
しかし、日本企業の現場を取り巻く環境は悪化していき、劣化を食い止めるどころか、現場力は跡形もなく消えてしまっていた。
なぜ、日本企業から「現場力」がなくなってしまったのか。
これには、この20年、日本企業が行ってきた「縮み志向の歪んだ『4なし経営』」が大きく影響している。
では、「4なし経営」とは、どのような経営なのだろうか。
1つめは「積極的な設備投資や人材育成投資を抑制してきた『投資なし』」経営である。
【①投資なし】「設備投資」や「人材育成投資」を抑制してきた
かつて日本のモノづくり企業は、「メイド・イン・ジャパン」で世界市場を席巻した。
世界のモノの輸出総額に占める日本のシェアは、ピークだった1986年には10.3%あったが、2022年のシェアは3.0%にまで低下した。
輸出額自体が減っているわけではない。日本の相対的な地位が低下しているのは、中国や韓国などのライバル国が日本以上に伸ばしているからである。
その一方で、国内での設備投資は抑制されてきた。
日本の国内における設備投資は、この30年間で2割程度しか伸びていない。その間、アメリカやカナダは2倍以上に設備投資を増やし、欧州主要国でも4~8割伸ばしている。
人材育成投資は「欧米5カ国と10倍以上の開き」がある
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