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西武労組、ストを決断した社長との対決の舞台裏 寺岡・労組委員長「井阪社長は腹を割って話すことがない」

東洋経済オンライン / 2024年7月26日 19時0分

続けて坂本は以前の井阪社長自身の発言との整合性を追及する。

「(25日の)取締役の追加について、経営課題が複雑多岐にわたり、専門的に進めるためと伺いましたが、仮に24日に取締役の選任が株主総会で決まったのだとすると、それも23日の時点ではインサイダーになるから、われわれにも言えなかったということでしょうか」

「その段階では団体交渉の議題ではなかったこともあり、申し上げなかったのかもしれませんが、もともと3名の追加選任を行う予定でした。ただ、それによっていままで私どもが話してきたことが何か変わってしまうとか、重大な変更をもたらすことに繋がるという事案ではなかったことから、報告しなかったと思います」

社長が仰ったことはまったく信用できません!

そのとき、書記長の後藤が突然割って入った。

「率直に申し上げて、いま、井阪社長が仰ったことはまったく信用できません!」

後藤の言葉に、思わず息を呑んだ。

「誠実に協議をするための場である団体交渉が継続しているにもかかわらず、3名の取締役を送り込む行為、この株式譲渡の件に関しては、言葉を選ばずに言うと取締役会決議でホールディングス籍の取締役が過半数を上回るための数合わせだと現場の組合員は思っています。少なくともいま、組合との協議中にやるべきことではないし、納得できません。そもそも、今回の株式譲渡の件はそごう・西武の取締役会でも決議をする事案だと聞いていますが、それは変わっていないという認識でいいでしょうか」

おお! 後藤、やるじゃないか。

外商セールス出身でお客さまとの関係をつくることに長け、良くも悪くも「いい奴」で、その分、経営陣に対して強く主張することをやや苦手にしていた後藤が、最後の最後に井阪社長に正論をぶつけた。土壇場まで追い込まれて、ついに一皮剥けた。

「後藤書記長は信用できないとのことですが、なんのために株式譲渡を行おうとしているかについて、あらためて申し上げます。要は事業の継続、企業の存続、そして雇用の維持のためにやろうとしているその大元のところはぜひご理解いただきたいと思います。

それをできるだけ速やかに瑕疵なく進めるための手続きをやらせていただいて、一方で事業計画、雇用の維持については真摯にこういった団体交渉の場で話をさせていただきたい」

論点をずらして逃げている

後藤の疑問に対して、井阪社長は真正面から答えようとせず、論点をずらして逃げているように聞こえた。

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