真面目な人ほど職場で「闇堕ちしてしまう」真因 「倫理感の欠如で不正が起きる」への違和感
東洋経済オンライン / 2024年7月26日 17時0分
私は私の方法で「頭」というか、「心」というか、それをフル活用して仕事していたつもりが、「客観性」「データ」至上主義の中で、自身の知性はおろか、存在そのものを全否定されたこと。これが私を追い詰めたのだと振り返ります。言えないから癒えない、というのは本当にバカにできません。
ただしこれも、だからと言って、会社側だけが責められるべき話ではないことは、お気次のとおりです。
リサーチやコンサルティングファームが「感覚」の話をしだしたら、収拾つきませんよね。そもそもクライアントも社内も求めているのは「客観的」な「データドリブン(データにもとづいて経営判断や事業のアクションをとっていくこと)」な示唆なのですから。
私という人間と、事業とのいわば「相性」の問題だと思いますが、私は能力評価で最低評価をつけられることで、自責の念ばかりが育ち続け、「傷つき」、自爆したのでした。
あとの祭りではありますが、今思うと、事業の性質と、自身の強みとを、私も就職する時点でもっと向き合っておくべきだったとの自省があります。私は私で、自分の柄にない(強みではない)おぼろげな「知識労働者」像を掲げて、憧れで仕事を選んでしまっていたことは否めません。
「自分で考えろ」と「傷つき」ーダイハツ工業の事例から
うまくいかなかった私の話に次いで、うまくいかなかった企業の話をしたいと思います。
2023年末、世間にとどろいた大企業不祥事といえば、ダイハツ工業の不正問題でしょう。なんと、34年にわたる、試験実施時の不正加工・調整、試験結果の虚偽記載、試験データ捏造・改ざんなどの不正が明るみに出たのでした。その後の第三者委員会の調査で、「組織風土」の問題が指摘されたことは、知られた話です。生産性を極限まで追求した「短期開発」の至上命令、その顛末として、
「『自分や自工程さえよければよく、他人がどうであっても構わない』という(中略)自己中心的な風潮がある組織風土が、認証試験の担当者に対するプレッシャーや部門のブラックボックス化を促進し、リスク情報の経営層への伝達を滞らせる土壌になっていた」と、第三者委員会は報告したのでした。他にも、調査結果で浮かび上がった組織風土の記述には、こんな職場の日常が記されていました。
・「できて当たり前」の発想が強く、失敗があった場合に激しい叱責や非難
・全体的に人員不足、余裕がなく目の前の仕事をこなすのに精一杯
・机上で決定した日程は綱渡り日程でミスが許されない
・なんとか力業で乗り切った日程が実績となり、無茶苦茶な日程が標準となる
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