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スキマバイト「タイミー」が上場、27歳社長の素顔

東洋経済オンライン / 2024年7月26日 9時0分

「大企業もスポットワーク領域に関心があったが、コロナ禍で本業が大変になり新規事業にまで手が回らなかったのでは」。今年に入ってスポットワークの参入企業が増えた背景を小川はそう分析する。

コロナ禍は伸び盛りのタイミーにとっても試練となった。創業来、月次売上高が初のマイナスに転じ、採用をストップ。クライアント事業者の8割近くを飲食店が占めていたが、激減してしまった。

打開策としてターゲットにしたのが、ステイホーム需要に沸く物流領域だった。物流チームを発足させて、大手クライアントには専任担当をつけるなど試行錯誤で開拓を進めていった。スーパーなど小売業も増えた。

「創業時は飲食やイベントが対象領域と思っていたが、コロナ禍で業態を増やすことができた。今後は介護や保育、製造業を開拓したい」。小川は抱負を語る。

業績も成長軌道に戻り、2022年10月期は売上高62億円、最終利益2.5億円と初の黒字化を達成。人手不足を追い風に2023年10月期は売上高161億円、最終利益18億円へと跳ね上がった。正社員数は約930人の大所帯となり、過半が地方の支社・支店で働いている。

組織が急拡大する中、学生起業家である小川の役割も変わっていった。

1000人規模で5階層となった組織をマネジメントするうえで、権限委譲やビジョン作りを実施。月2回の全社員集会でビジョンを共有・浸透させつつ、活躍する社員が全社員の前でプレゼンする機会を毎月設けた。離職率を抑え、急拡大しても「壊れない組織作り」にコミットした。

並行して、本流である新規事業立ち上げでも陣頭指揮を執り続けた。今年2月に開始した「タイミーキャリアプラス」は、キャリア相談や資格、免許取得などのリスキリング講座を受けることができる。長期就業を望むワーカーと、人材を採用したい事業者を結びつけることが目的だ。物流・ホテルなど導入事業者が増えている。

昨年10月には「バッジ機能」も導入した。よい働きをしたワーカーに対し、事業者が管理画面上で業務を認定するというものだ。飲食店の「ホール」「洗い場」「調理」など特定業務でバッジを獲得すると、待遇や時給がよくなる仕組みとなっている。

小川は「キャリアプラスとバッジ機能は、会社の儲けとは関係ない。スポットワークのリーディングカンパニーが金儲けだけ考えていると、2番手、3番手も同じような仕組みになり、それが世の中の評価となる」と語る。そのうえで「働き手が働きたい環境を作れる会社がいちばん強い。これは思想だからマネできない」と胸を張る。

“大人たち”との絶妙な距離感

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