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スキマバイト「タイミー」が上場、27歳社長の素顔

東洋経済オンライン / 2024年7月26日 9時0分

タイミーの成長戦略は明快だ。今後はホテルや介護、保育、製造業など人手不足に悩む業態への参入を進める。並行して、日本全国の市町村へインフラとして浸透することを見据えている。

すでに地方自治体や地方銀行との連携が進む。社員の平均年齢は30歳という若い会社だが、「地元出身のメンバーたちが支社コミュニティに属し、商工会に加入したり地域の祭りに協賛したりするなど地域に密着している」(小川)。

小川自身も、先輩経営者やクライアント企業のトップたちとの交流を大切にしている。「一年365日のうち340日は毎食会食。ゴルフにも行く」と笑う。株式上場を控えて、機関投資家らとの交流がさらに加わった。

スポットワーク市場の拡大は、企業の副業解禁も後押ししている。とくに物価高を受けて、2022年頃から生活費を補う目的でスポットワークを利用する人は増加傾向にある。企業の残業削減のトレンドも影響し、タイミー利用者の2割超を会社員が占める。

タイミーが支持を集めた理由の1つが、給与の即日払いだ。バイト代をその日のうちに遊びに使う学生もいれば、その日の生活費に充てるワーカーもいるなどさまざま。スポットワークを「貧困ビジネス」と指摘する声も聞かれる。

これに対し小川は「タイミーでの働き方が便利だから選んでいただいているだけで、押しつけているわけじゃない。嫌な仕事に派遣されるわけではなく、アプリ上で評価の高い会社や、自分の周辺で働く場所を選ぶのでまったく違う」と強く否定する。そして「タイミーだからこそ、こんな幸せな生活になったという方々をどんどん生んでいきたい」と力を込める。

オーナー経営者としてのこだわり

上場後も小川は株式19%強を保有する大株主だ。

持ち株比率については「生みの親でオーナーだけど、そこまで気にしない」と言う。「経営者として株主にどう判断されるのかが大事。仮に追い出されたら経営者として資質がなかったということで、そうなれば新しい会社を別に立ち上げるだけ」。飄々と答えた。

この考え方には、学生起業家のロールモデルとして尊敬するサイバーエージェント社長の藤田晋(51)をはじめ、複数の先輩経営者のアドバイスが影響しているという。小川の結論はこうだ。「時価総額1000億円の会社で株式50%を持つより、1兆円で10%のほうが大きい」。

サイバーエージェントの藤田は、創業間もないタイミーに出資した株主であり、メンター(助言役)でもある。上場について「藤田さんからは『自分の見る目は間違ってなかった』と喜んでいただいた。当時はよくわからなかったけど、まあでも面白そうだなと思ったそうです」と小川は笑った。

上場すれば、タイミーを取り巻くステークホルダーは一気に増える。これからライバルも攻勢をかけてくる。スポットワークのパイオニアは株式市場の期待に応えることができるのか。ユニコーンとしての上場は通過点に過ぎない。

前田 佳子:東洋経済 記者

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