1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

ヴィレヴァン300店巡って見えた「品揃えの失敗」 「遊べる本屋が魅力」を失った本質的な要因

東洋経済オンライン / 2024年7月27日 13時5分

「最近ではまた権限委譲が戻りつつあるらしいんですが、コロナ禍で仕入れがいったんストップしたのを機に、商品本部が送る商品を各店で売る、という時期もあったようです。結果、大量に残ったのが、『オタク』カルチャーのグッズや、YouTuberなどのグッズだったようです。

そういった話を聞いてると、『本部と現場の足並みが揃っていないな』と感じますよね。1週間前に、『来週セールをやる』と言われて、現場が混乱することも少なくないようです」(ヴィレ全さん)

実は利益追求集団(?)なヴィレッジヴァンガード

しかし、ヴィレヴァンといえば「カルチャー」を売りにしている企業で、利益追求については、そこまでこだわりがないようにも映る。「来週セールをやる」という言葉はあまり似合わないような……ここ最近で企業風土が変わったのか?

「そんなことはありません。創業者の菊地さんの存在が強く、『趣味の店』のように思われていますが、ヴィレヴァンはそもそも利益追求集団なんです。そこには巧みな販売手法があって、それで店はうまく回っていました」(ヴィレ全さん)

前回のインタビューでも紹介したように、ヴィレヴァンでは、本を入り口にして、それに関係する商品などを購入させることで利益率を確保する、いわゆる「粗利ミックス」のやり方で利益を上げていた。

誤解がないように言うが、筆者は利益追求を批判しているわけではない。書籍のように利益率の低い商品を扱うには、むしろ適正な利益追求は必要だろう。

だが、利益追求が、働く人に負担をかけることもあったようだ。

「今ではそんなことはありえないのですが、聞いた話だと、かつてイオンモールの店舗だと、イオンモールの中なのに、22〜23時を過ぎても働いていたり、ひどい場合だと朝まで仕事をしている店長が床に寝て、開店まで仮眠して……、なんてこともあったようです」(ヴィレ全さん)

いわゆる「モーレツ」な働き方をしていたのだ。一般に持たれる「サブカル系で、良い意味で浮世離れしている」ヴィレヴァンのイメージとは、少し異なっている。

増えすぎた店舗が「ヴィレヴァンらしさ」を失わせた?

こうした利益追求の延長線上に、一時期の強気の出店姿勢があったと、ヴィレ全さんは見ている。

「どんな田舎でも、そこにイオンモールがあれば、以前のヴィレヴァンは出店していました。

お店が増えすぎて、特別感が薄れてしまったのは事実だと思います。2000年代で100店舗ほどだったのが、その後急激に増えて400店舗になり、今ではそれが100店舗ほど潰れて300店舗程度になっています」(ヴィレ全さん)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください