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ヴィレヴァン300店巡って見えた「品揃えの失敗」 「遊べる本屋が魅力」を失った本質的な要因

東洋経済オンライン / 2024年7月27日 13時5分

【画像】最低時給、社員登用の高い壁が「POPが書けない、サブカルに疎い店員」の増加につながった? 今や大赤字のヴィレヴァン。その外観やPOPなど(11枚)

「ヴィレヴァンが、今の店舗数を維持していくのは厳しいんじゃないかと思います。この間、新宿のルミネエストの中にある店舗に行ったんですが、そこはこれからなくなるんです。都心は地価も高騰しているし、厳しいところが出てくるんじゃないか。だからこそ、地方に出店を絞るのもありかもしれないですよね」(ヴィレ全さん)

地方に「サブカル」を伝えてきた役目を、残すべきではないか。そのために、大胆な出店戦略の方針転換をしてもいいのではないか、というのがヴィレ全さんが考えていることだ。

「でも、ヴィレヴァンは先ほども言ったように、基本的には利益追求集団。本部は、基本的に『自分たちがカルチャーを守っている』という意識はなさそうですし、今のヴィレヴァンは田舎の店舗ほど、品揃えも普通なんですよね」(ヴィレ全さん)

ヴィレヴァンを全店巡り、語るのは「店員さんへの恩返し」

ヴィレ全さんの口からは、現在のヴィレヴァンへの率直な感想の数々が出てくる。

しかし、にもかかわらず、ヴィレ全さんが、ヴィレヴァンを巡り続けるのはなぜか。そこには、「ヴィレヴァンへの恩返し」という意味があるという。

「なぜ僕がヴィレヴァンを全店巡っているかというと、恩返しなんですよね。小さい頃からヴィレヴァンにはお世話になっていた。僕のアイデンティティの形成にすごく関わっていると思っていて。ヴィレヴァンという企業というより、あの店とそれを支える店員さんが好きで、彼らに対して恩返ししたかった」(ヴィレ全さん)

事実、ヴィレヴァン全店を巡る中でわかったのは、それぞれの店舗の店員さんの奮闘だった。

「イオンタウン宮古南店には、他では見られないようなPOPがあります。売っているほとんどの本に、そこそこ大きめのサイズでその紹介が書いてあるんです。これには驚きました。本を読む手間だけでも大変だと思うのですが、それをうまく要約してお客さんが手に取りやすくする工夫をしていて、感激しました」(ヴィレ全さん)

他にも、ヴィレヴァンの強みの一つである権限委譲が進んでいる店舗もある。

「三重県にあるイオンモール津南店は、とにかく段ボールで作られたイラストポップの量がすごいんです。ここには名物店員である『ゆめちゃん』という店員さんがいます。彼女は、YouTuberのまあたそという人が好きで、自分でまあたそコーナーを作ってしまったんです。テレビにも呼ばれたり、ヴィレヴァンの公式TikTokにも登場したりしています」(ヴィレ全さん)

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