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やばすぎるNetflix「地面師たち」後味の悪い魅力 綾野剛と豊川悦司演じる「100億円不動産詐欺」

東洋経済オンライン / 2024年7月27日 14時0分

先へ先へと展開を追いたくなるストーリーの組み立てが、癖になる理由の1つにあります。強烈なキャラクターたちの個性に頼り過ぎていません。地面師詐欺のイロハの手口を把握したうえで、100億円不動産詐欺という無理ゲーに挑んでいき、難関を1つひとつクリアしていくような感覚を視聴者に起こさせます。

世界観に酔わせる演出力も加わります。ハリソン山中(豊川悦司)がロックグラス片手に「地面師になりませんか?」「誰かを地獄に落としてみませんか?」と辻本拓海(綾野剛)に引き抜き話を持ちかける序盤の会話シーンから知能犯特有のダークな世界観を表現しています。地面師たちが建設中の高層ビルから100億円の価値がある土地を見下ろす夜景シーンも印象的です。

オープニングで使われる地面師詐欺集団の淡々とした説明ですら飽きさせません。背景に流れるテクノミュージックは飽きさせないどころかアドレナリンが出るような感覚に。電気グルーヴの石野卓球による音楽も気分を高めてくれます。

また犯罪モノといっても不動産取引ですから、ド派手なアクションは当然なし。基本的には地味な現地調査や書類のやり取りが中心です。決済手続きも現実的な銀行振込が選択され、現ナマがドーンと積まれるわけではありません。辻本拓海が変装してターゲットに近づく場面はインパクト大の風俗描写になっていますが、派手さとは別物と言えます。

にもかかわらず、狡猾な駆け引きに魅力を持たせ、動きの少ない会議室のシーンでも臨場感を感じさせるのは大根仁監督の手腕によるところが大きそうです。気骨のある社会派ドラマ「エルピス‐希望、あるいは災い」(カンテレ)やサブカル度たっぷりのラブコメ「モテキ」(テレ東)を代表作に持つ大根監督がNetflixで初めて手掛けた作品になります。

東京都品川区五反田の土地をめぐる2017年の不動産詐欺事件をきっかけに、大根監督は地面師という存在に興味を持ったそうです。その後、2019年に出版された新庄耕の同名タイトルの小説を読んで「映像化したい」という気持ちが高まり、自ら出版社に交渉までして、Netflixに持ち込んだ経緯があります。熱量の高さは作品からも感じるはずです。

後味の悪い展開と胸糞悪い描写アリ

この作品の魅力は、都度挿入される後味の悪さにもあります。それはほぼほぼ豊川が熱演するハリソン山中の言動によるものです。「クソみたいに狭い土地にクソみたいな人間がひしめき合って生きている」という冒頭の台詞から不穏な空気が流れまくっています。明らかに残虐性を持った人物像です。

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