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「アイドルは引退後どうする?」"第2の人生"の現実 「履歴書の書き方がわからない!」リアルな実情

東洋経済オンライン / 2024年7月28日 9時1分

佐々木さんもそうだったように、森永さんもはじめは自分自身を客観視できずにいた。

「転職活動してわかったのは、アイドルのバックボーンをもっている子を求める企業は、広報や営業の仕事をやってほしいというのが多いんです。それは、アイドルをやっている子は、みんなSNSやコミュニケーション能力も高いってことなんです。だからそれをもっとみんなに知ってもらいたいですね」(森永)

アイドルは普段からファンに向けてSNSで情報を発信し、インフルエンサー的な活動をこなす。

つまり、これらは一般企業でいうところの広報と営業に必要なスキルと、特典会でははじめてのファンとも笑顔で話し、名前(あだ名)を覚え、次もライブに来てもらえるように振る舞うことが一致するわけだ。

森永さんはそのスキルを買われ、SNS運用の会社に無事転職できた。そこでは、自らが前面に出て、広報そしてTikTokの運用を行っている。

アイドル時代に培った「超絶スキル」

「TikTok運用は企業の求人やアイドル事務所のクライアントからなど様々です。ただ、やっぱり自分がSNSで発信する側にいたので、台本を作るにしても、撮影にしても、解像度が普通の方とまったく違います。私にしかできないこと、ということでアイドル時代のスキルが活きてきているなと思います」(森永)

いまのTikTok運用などアイドル時代のスキルが活きているというのは他にもある。

アイドル時代、ライブ中の1~2分の短いMC中にいかに盛り上げ、観客を惹きつけることができるか、そのワードをいつもメンバーと一緒に考えていた。そのワードセンスこそ、いまのSNSに必要不可欠なものだろう。

「やっぱり人を惹きつける力っていうのは、アイドルが一番もってるんじゃないかと思うんです。それで社会に出たときに、アイドルをやっていたというステータスを持っている人はそういません。だからアイドルを辞めたあとでも、それって特別で絶対に自信をもっていいんだよって伝えたいですね」(森永)

アイドルはある種「特殊な世界」に生きている。

けれども、個人としては、みな人を惹きつける能力を持ち合わせており、一般社会に出ればそれは卓越している。

アイドルの世界しか知らないから「才能」に気づけない

歌やダンス以外にも多くのアイドルがそれらの秀でたスキルを身につけている。

けれども問題はアイドルの世界しか知らないが故に、アイドルの世界しか見えないが故に「自分自身の才能」に気がつけないという点にある。

今回、取材を通してその問題点が見えてきた。

だからこそ、いまはまだ「アイドルのセカンドキャリア」を支援する企業や団体が必要であり、またファンもそれらを理解する必要があるだろう。

*この記事の前編:アイドルを苦しめる「心の不調」"数字"に見る過酷さ

松原 大輔:編集者・ライター

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