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ファミマ、「カラフル靴下」が2000万足突破の衝撃 地味だった衣料品売り場を「主役級」に大改革

東洋経済オンライン / 2024年7月28日 8時0分

売り場の見せ方にもこだわっている。アパレル業界では接客が重要だが、コンビニでは個別の商品の接客は難しく、試着もできない。

そこで、パッケージに素材や胸囲、着丈などのサイズを明記、POPもモデルの身長や着用サイズを示すなど、着用感がわかるように工夫した。

コンビニエンスウェアはソックスを筆頭に芸能人や若者によってSNSで拡散され、業界の枠を超えてアパレル関係者の間でも注目を集めた。

現在、同ブランドを手がける商品本部の須貝健彦氏も影響を受けた一人だ。須貝氏は大手のオンワード樫山で主に百貨店で販売する婦人服の開発を担当していた。ファミマのソックスを着用する同僚も多く、社内で話題になることも増えていた。

「コンビニがここまで本気でアパレルをやるなら、伸びしろは大きいのではないか」。そう直感し、ファミマへの転職を決意したという。

「全身ファミマ」のファッションショーも開催

須貝氏はファミマ入社後、経験を生かして品ぞろえの拡大に尽力した。コンビニで前例がない商品には売れ行きを心配する声も上がったが、「コンビニは暑くなったり、寒くなったりしたときに客数が増える。絶対に売れる」と考え、丁寧に社内を説得していった。

その一例がカーディガンだ。突然肌寒くなったとき、冷房が強くて寒いときなどに購入する客がみられ、緊急需要も一段と取り込むことができた。

2021年3月には売り場を全国に展開し、アイテム数もさらに拡充してきた。「はっ水パーカー」やサンダル、ショートパンツなどを投入し、2023年には全身のコーディネートが可能になった。現在は常時約50アイテムを展開している。

当初の狙いだった「衣料品の目的買い」は着実に増えている。新商品の発売当日に来店し、入荷まで店頭で待つ客もいるほどだ。

また、コンビニは男性客の利用が多いが、コンビニエンスウェアの購買データを見ると、若年層や女性客ほど伸び率が高い。新たな客層の開拓にも貢献したといえそうだ。

驚くべきは、ファミマ本部側の担当者は須貝氏を含め2人だけということ。須貝氏は「正直、大変です」とこぼすが、繊維関係のノウハウに乏しいコンビニが、少人数かつ短期間で多数の商品を開発・販売し続けるのは「大変」どころではない。

この点は親会社である伊藤忠商事のバックアップも大きい。同社の担当者も毎週の開発会議に出席。ファミマ本部やメーカーと密接にコミュニケーションを取り、国内外の協力工場との調整役にもなっている。

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