独VW、中国企業と「共同開発」急拡大に透ける焦り 上汽集団と多項目の技術提携、PHVに加えてEVも
東洋経済オンライン / 2024年7月29日 19時0分
ドイツ自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)グループが、中国メーカーとのEV(電気自動車)およびPHV(プラグインハイブリッド車)の共同開発プロジェクトを拡大している。
【写真】VWが2024年の北京モーターショーに出展した中国市場向けEVのコンセプトカー「ID.CODE」
同社は6月27日、中国の自動車最大手の上海汽車集団(上汽集団)と多項目にわたる技術提携契約に調印したと発表した。その中には、両社の合弁会社である「上汽VW」において2車種の新型EVと3車種の新型PHVを共同開発するプロジェクトが含まれる。
VWと上汽集団は2023年8月、上汽VWでPHVを共同開発する計画をすでに明らかにしていたが、今回、協業の範囲をEVにも広げた。上汽集団によれば、上述の5車種を2026年から続々と市場に投入するという。
ドイツ開発のEV、中国で苦戦
自動車業界のグローバル企業の中で、VWはエンジン車からEVへのシフトに最も積極的な1社だ。同社はEV専用プラットフォーム(車台)「MEB」を(ドイツ本社で)開発し、それをベースにした「ID.3」や「ID.4」などの主力EVを相次いで市場に投入してきた。
だが、それらの販売はVWが期待したほど伸びていない。とりわけ中国市場での売れ行きはパッとせず、大幅な値引きにより何とか販売台数を維持しているのが実態だ。
さらに、中国市場では地場メーカーの比亜迪(BYD)などが、価格をエンジン車並みに引き下げたPHVやEVを次々に発売。VWにとって中国事業の収益基盤であるエンジン車の市場を、ごっそりと奪いつつある。
VWにとって、中国は国別の販売台数が最大の基幹市場だ。このまま市場シェアを失い続ければ、経営の屋台骨が揺らぎかねない。
そこで同社は、合弁パートナーである上汽集団の技術や人材を活用すると同時に、中国における独自の研究開発能力の強化を急いでいる。その中核を担うのが、2023年5月、安徽省合肥市に全額出資で設立した研究開発子会社フォルクスワーゲン・チャイナ・テクノロジー(VCTC)だ。
VCTCは今、中国の新興EVメーカーの小鵬汽車(シャオペン)と共同で2車種のEVの開発を進めている。これらのEVは、同じく安徽省にある生産子会社の「VW安徽」で組み立て、VWブランドで中国市場に投入する。
(訳注:VWは2023年7月に小鵬汽車と資本提携し、約5%を出資する株主になった。VW安徽は、もともと国有メーカーの江淮汽車と対等出資の合弁会社だったが、後にVWが出資比率を75%に引き上げ子会社化した)
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