「いつも機嫌がいい人」組織にもたらす意外な効能 「揺らがず囚われず」の心の状態が変革を生む
東洋経済オンライン / 2024年7月29日 18時0分
言わずもがな、「機嫌が悪い」ほうに心が傾いていれば、「何を」していても「質」は下がるのだ。これもまた例外などない。それがいけないとかダメだとかルール違反だとかではなく、そのような人間の仕組みだということ。ビジネスをするにはそれを肝に銘じる必要がある。
オレは私は、イライラするとパフォーマンスがよくなるという人などいないだろう。不安のまま1日をすごすと、その日は終日パフォーマンスが上がったというような人は仕組み上存在しないのだ。「何を」するのかだけに注力して、心の状態が乱れたまま「質」の悪いパフォーマンスを展開している人が少なくない。ビジネスでも、もちろん例外ではないのだ。
ビジネスは、とかくストレスを感じ、不機嫌になるのが通例だ。なぜなら、結果を出さないといけないし、まわりの友だちじゃない人たち、上司、部下、同期、そしてお客さんやクライアントと接しなければならないからだ。
さらに、結果を出すために、やらなければならないことは多々あり、やるべきことがわからないことも少なからずある。わたしが慶應病院で医者をしていたころもまさにこの状態で、スーパーストレスを感じていて、不機嫌な状態の真っただ中だったことを思い出す。本稿を読んでいる多くの人もその例外ではないはずだ。
しかし、それではパフォーマンスの「質」が悪く、結果的に時間ばかりがかかり長時間労働になっていく。当時は、「心の状態」や「質」などといった概念とその価値がないので、そのストレスに耐えたり我慢することに多くのエネルギーを消費していたように思い出される。それに耐えられなければ仕事じゃないと、「質」の悪さを棚にあげ、根性や頑張るというやり方や、量で勝負しているのだ。仕事こそ、「機嫌がいい」状態でパフォーマンスの質を上げるべきなのに……。
人は大人になるほど「変化」を恐れるようになる
じつは、「機嫌がいい」は成長や変革への絶大的な必須条件なのだ。「機嫌がいい」は揺らがず囚われずの心の状態だが、一方で「機嫌が悪い」とは、何かに囚われている状態ということでもある。囚われの心の状態は、背景に「固定概念」が強くあることでもある。
「固定概念」とは、心理学で「セルフコンセプト」と呼称されており、この「セルフコンセプト」こそが、成長や変革の阻害因子なのだ。
「セルフコンセプト」をわかりやすく述べるなら、自分の中に過去の経験や周囲の影響でできあがっている「普通」とか「常識」だ。この自分の「普通」や「常識」が変革の妨げとなっていることは容易に想像できるだろう。
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