パリ五輪開会式「過激すぎ」でも東京より好評な訳 物議を醸した開会式、東京五輪と比べる声が多出
東洋経済オンライン / 2024年7月29日 21時0分
ロンドン五輪では、映画監督のダニー・ボイルが総監督をつとめたが、イギリスのポップミュージックが満載で、映画『007』のジェームズ・ボンド役ダニエル・クレイグがエリザベス女王をエスコートするという演出もあり、イギリスらしさが出ていると高評価だった。
リオ五輪の開会式は、予算も潤沢ではなく、前出の2大会ほどの派手さはなく、話題も大きくはなかったが、ブラジルの歴史と文化をリスペクトし、最新テクノロジーを用いた演出の評判は良好であった。
ちなみにリオ五輪で思い出しておきたいのが、閉会式で日本が行った、リオから東京への引き継ぎ式だ。ハローキティやドラえもん、大空翼など日本の人気キャラクターが多数登場し、故・安倍晋三元首相がマリオに扮して登場したことで話題を集めた。
他にも東京五輪の期待感を最大限に高める優れた演出となっており、日本だけでなく、海外でも賞賛を集めた。
振り返ってみると、大きく物議をかもしたのは、今回のパリと前回の東京くらいのようだ。
北京大会以前は、SNSが今ほど浸透しておらず、“炎上”する可能性も低かったのだが、直近で見ても、パリ五輪の開会式は物議をかもし過ぎであるように思う。
東京五輪の開会式を振り返ってみると…
東京パラリンピック閉会式の演出を担当した小橋賢児氏は、パリ五輪開会式の演出に関して「この時代の中で『攻めた姿勢』を見て、うらやましいものがあった」とスポーツ報知に語っている。
脳科学者の茂木健一郎氏は、Xに「パリ五輪の開会式、ここまで自由にやっていいんだという開放感があってすばらしい。形式化、マンネリ化していたのがすべて吹っ飛んだ感じ」と投稿している。
たしかに、パリ五輪は“自由”で“攻めた”演出だったと言える。批判の背景には「五輪という世界の多くの人が注目する国際大会の場で、これを行う必要があったのか?」という疑問があるように見える。
フランスに限らず、ヨーロッパの人びとは、他人の行動にあまり口出ししない傾向がある。多くの国家が隣り合い、国や民族を越えて行き来している地域のため、摩擦も絶えないのだが、「とりあえずは受け入れて、問題が起きたら解決策を講じよう」という基本姿勢を持っているように見える。
開会式の演出についても、「こういう批判が起きるかもしれないからやめておこう」、「こういうトラブルが想定されるから、十分な対策を取っておこう」といった意識は、少なくとも日本人ほど強くは持っていなかったようだ。
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