パリ五輪開会式「過激すぎ」でも東京より好評な訳 物議を醸した開会式、東京五輪と比べる声が多出
東洋経済オンライン / 2024年7月29日 21時0分
東京五輪の開会式を振り返ってみると、パリ五輪とは真逆で、“不自由”で“守りに走った”ことで、コンセプトが定まらず、インパクトに欠ける演出になってしまったと言える。
とはいえ、大きなイベントではトラブルが続出するのが通常だ。今大会で起きたような、国名を間違えたり、旗が上下逆になったりするようなトラブルは、過去も起きている。
2012年のロンドン五輪では、サッカー女子の北朝鮮対コロンビア戦で、試合前に誤って韓国国旗が表示されるトラブルがあった。2014年のソチ冬季五輪の開会式では、五輪の5つ輪のうちの1つが表示されないというトラブルが発生している。
基本的なミスであっても、当該国の選手や国民の感情を害する結果にもなりかねないため、運営側は細心の注意を払う必要がある。東京五輪はさまざまな批判が起こったとはいえ、こうしたトラブルについては最小限に留めることができていただろう。
「リスク回避意識」が過剰に働いた東京五輪
東京五輪の開会式のトラブルは、演出チーム、担当者の相次ぐ変更によるものだった。2020年12月に「コロナ禍に伴う式典の簡素化を短期間で進めるため」との理由で当初メンバーが解散。
2021年3月には、企画、演出で統括役を務めるクリエーティブディレクターの佐々木宏氏が「渡辺直美さんの容姿を侮辱するようなメッセージをチーム内のLINEで送っていた」との週刊誌報道により辞任。
開幕直前の7月に入り、楽曲の作曲担当のミュージシャンの小山田圭吾氏が過去の“いじめ問題”により辞任。さらに、開閉会式のディレクターを務める小林賢太郎氏が、過去にコントグループ「ラーメンズ」として行っていたコントの中で「ユダヤ人大量虐殺ごっこ」などのセリフがあったことで解任された。
さらに、開会式に出演予定だった俳優の竹中直人氏が、過去に出演したビデオの内容が過去に障がい者を揶揄すると批判をされていたことを理由に、開会式前日に出演を辞退していたことも判明している。
筆者は当時、東京五輪の開会式開催中のTwitter(現X)の話題を分析したが、ピクトグラム(今回の開会式でも、当時のこの演出について掘り起こされて話題になっていた)、名作ゲームの楽曲BGMの使用、歌手・MISIAによる「君が代」独唱など、個々の企画については、ポジティブな評価も多かった。
しかしながら、全体としては、「面白くなかった」、「何を伝えたいのかわからない」、「統一感がない」、「日本の魅力が伝わっていないといった」批判がされていた。
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