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上海の日系老舗百貨店「梅龍鎮伊勢丹」が営業終了 27年の歴史に幕、消費者の百貨店離れに抗えず

東洋経済オンライン / 2024年7月30日 20時0分

上海梅龍鎮伊勢丹は複合商業ビル「梅龍鎮広場」のキーテナントとして1997年にオープンした(写真は梅龍鎮広場のウェブサイトより)

2024年6月30日、上海市の日系老舗百貨店「上海梅龍鎮伊勢丹」が営業を終了し、27年間の歴史に幕を下ろした。

【写真】中国で営業を続ける最後の伊勢丹となった天津市の「仁恒伊勢丹」

1997年6月にオープンした梅龍鎮伊勢丹は、日本の三越伊勢丹グループが中国企業などとの合弁により、上海有数の目抜き通りである南京西路に面した複合商業ビルのキーテナントとして出店した。

当時は中国の小売業の市場が外国企業に開放されたばかりで、香港の「新世界百貨」や台湾の「太平洋百貨」、マレーシアの「パークソン百貨」などの外資系百貨店が続々と中国に進出していた。

天津の1店舗を残すのみに

梅龍鎮伊勢丹の営業終了の理由は、表向きには「契約期間の満了」だ。同店を運営する合弁会社は3月25日、株主間の合弁契約および店舗の賃貸契約が期限を迎えるとして、6月末で閉店する旨を取引先に通知していた。

とはいえ現実には、中国の小売業界の構造や消費者ニーズが大きく変化した中で、百貨店の経営が厳しさを増していることが背景と見られている。

三越伊勢丹グループは、最盛期には中国で伊勢丹ブランドの百貨店を6店舗運営していた。しかし2022年に四川省成都市の2店舗を閉店し、2024年4月には天津市の2店舗の営業を終了。それに続く梅龍鎮伊勢丹の閉店で、中国の店舗は天津市の「仁恒伊勢丹」を残すのみとなった。

上海梅龍鎮伊勢丹の営業終了をきっかけに、中国のSNS(社交サイト)上では「外資系百貨店の相次ぐ撤退」が改めて話題になった。しかし中国の小売業界内では、百貨店の衰退は(外資系か地場系かにかかわらず)10年近く前から語られ続けてきたテーマだ。

中国の商業施設の歴史を振り返ると、その発展の初期段階においては、豊富な品揃えを売り物にする百貨店が当時の消費者ニーズに合致していた。

だが、時代の流れとともに消費者ニーズはどんどん多様化した。そんな中、相対的に狭いスペースに商品が詰め込まれた百貨店は、(ゆったりした空間に物販だけでなく飲食や娯楽サービスなどを組み合わせた大型ショッピングモールなどに押されて)次第に消費者の支持を失っていった。

個人消費の低迷が追い打ち

業界団体の中国百貨商業協会が2024年3月に発表したレポートによれば、中国の百貨店業界は「個人消費の低迷」、「経済成長の減速」、「オンラインショッピングの急拡大」などの逆風にさらされている。

と同時に、高い経営コスト、低い利益率、来店客数の減少、新規集客の難しさなど、百貨店業界が抱える構造的な経営課題についても(レポートは)指摘した。

梅龍鎮伊勢丹に出店していた高級スキンケア用品ブランドの店員は、財新記者の取材に対して販売現場の実態を次のように語った。

「ネット通販サイトの価格競争が激しくなる中、実店舗も(対抗して)値引きキャンペーンを繰り返している。それでも成果は上がらず、消費者の財布のひもが堅くなったのを実感する」

(財新記者:牛牧江曲、包雲紅)
※原文の配信は6月30日

財新 Biz&Tech

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