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働き盛りの男性が陥る"かくあるべし思考"の弊害 周りにも義務感を押し付けて縛ることが多い

東洋経済オンライン / 2024年7月30日 8時0分

うつ病は誰でもなり得る病気だけれども、「この道がダメだったら終わり」ではなく、「この道以外にも、たくさんの道がある」と考えていたほうが、ネガティブ思考やマイナス思考にとらわれにくくなります。

ですから、私はうつ病の患者さんの話を聞いた後、よくこのように話しています。

「その考え方もあるかもしれませんが、こんな考え方もあるかもしれませんよ」

「やってみないと、そうなるとは限りませんよね」

相手の考えを否定するのではなく、別の視点を提案することによって患者さん自身に自分の思考の偏りを認知してもらい、うつ症状の改善を目指すのです。こうした会話を続けていくことでたくさんあるはずの可能性に気づいてもらい、思考パターンをなるべく柔軟にしていく手助けをしています。

どんなときも、「この方法がダメだったら、あの方法を試してみよう」「この道もあるけど、あの道もある」というように、常に3つ4つは他の可能性を考えるくせをつけておくことが大事なのです。

また、日頃からすぐに実践できる方法として、常に「そうかもしれない」という思考パターンを自分にプラスすることも大事です。

たとえば、誰かが言った言葉やテレビや書籍、新聞、雑誌などに出ていたことを鵜吞みにはせず、「そうかもしれないけど、別の見方もあるよね」「そうとも限らないんじゃない?」と、他の考え方や可能性を探してみるのです。

また、保守的なメディアと革新的なメディアの両方に目を通すとか、正反対の論調の雑誌を読んでみるなど、一つの方向に縛られないようにすると思考の幅が格段に広がり、前頭葉が活性化します。

さらに、普段は見ないジャンルのドラマを見る、まったく読んだことのない哲学の本に挑戦するなど、積極的に興味の範囲を広げていくことも効果的です。

こうしたことの積み重ねによって、柔軟で前向きな考え方ができるようになっていくはずです。

本当の「勝ち負け」は誰にもわからない

「かくあるべし思考」の弊害は至るところに見られます。

たとえば、私の卒業した東大の医学部では「東大医学部を出たからには、大学教授にならないといけない」という「常識」がありました。

東大医学部を卒業したら、そのまま医局に残って大学病院の教授になるための出世レースに勝ち残るのがエリートコースです。大学病院の教授は勝ち組、それ以外は負け組と見なされるわけです。

しかし実際には、大学病院では教授の言うことを何でも聞かなければいけないようなところが多いので、毎日が我慢とストレスの連続です。

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