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働き盛りの男性が陥る"かくあるべし思考"の弊害 周りにも義務感を押し付けて縛ることが多い

東洋経済オンライン / 2024年7月30日 8時0分

一方、開業医になれば、自分で何とか医院を経営していかなければいけないけれども、上司の言うことを我慢して聞かなければいけないということはありません。

また、大学病院で教授になり、医師の世界で「勝ち組」と呼ばれていた人たちも、定年退職後に満足できる再就職先に恵まれるかといえば、必ずしもそうとは言えないのが現実です。元教授が定年退職後の就職先に困っているなんて話もよく聞きます。

しかし、開業医であれば60代以降もまだまだ稼げますから、年をとってからも、自分なりのペースで豊かな生活を送っている人も多いのです。開業した病院を大きくして、元教授を雇っている開業医もいます。

このように、何が勝ちで何が負けかなど誰にもわかりません。もちろん人によっても違いがありますし、本当のところはその人が死ぬまでわからないのです。

中学受験も同じではないか

私は医師の仕事のかたわら、長年、受験業界の指導もしていますが、中学受験などでも同じことを感じています。

近年は中学受験がますます過熱していますが、「我が子をこの中学に合格させなければいけない」「この中学に落ちたら、東大や医学部に行けなくなってしまう」と思い込み、もはや教育虐待と思われるような厳しい指導をしている親も少なくありません。

でも、それによって子どもが勉強が嫌いになったり苦手になったり、自分は頭が悪いと思い込んでしまったりすれば、志望校合格といった本来の目的が遠のいてしまうわけです。

また仮に志望校に合格したとしても、その受験によって子どもが燃え尽き症候群になって勉強する意欲を失えば、その後は中学や高校で落ちこぼれてしまったり、大事な大学受験で失敗したりすることもあります。

これでは本末転倒です。大学合格という本来の目的を叶えたいのであれば、中学受験だけが戦術ではありません。中学受験はせずに小学校高学年から英語に力を入れておく道もあるし、中学での数学を先取りしておいて高校受験に力を入れるという道もあります。

受験をするのであれば、もちろん結果は出したほうがいいけれども、名門中学に入れなかったら人生が終わるなどということはありませんし、たとえ名門中学に合格しなかったとしても、大学受験で志望校に受かればいいわけです。

要は、別のやり方で勝てる方法を見つければいいということです。

目的や本質を見失わないことが大事

このように、「かくあるべし」「〜すべき」にこだわりすぎていると、本来の目的よりプロセスや過程に目を奪われてしまうことがあります。

組織で働くときにも、社内ルールや形式、上司の評価や機嫌などに縛られすぎて、本来の目的が見えなくなってしまうことがあります。

「かくあるべし思考」にとらわれていると手段と目的が混同してしまうことがあるのです。

40代、50代のベテランこそ、組織に潜む「かくあるべし」から脱却して、目的や本質を見失わないことが大事です。

和田 秀樹:精神科医

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