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「死んだら、私の財産、誰に行く?」トラブル防ぐコツ 「"あげたくない人"に渡る」「棚ぼたケース」も

東洋経済オンライン / 2024年7月30日 11時0分

このように、夫が先に亡くなるか、妻が先に亡くなるかによって、遺産の行方はまったく違うものになるのです。

「財産なんてほとんどない」のであればたいしたことではないのかもしれませんが、それなりの財産がある場合は、かなり大きな問題ではないでしょうか。

お互いが上記のような相続パターンで納得しているなら問題はないのですが、「どうしても自分の親族に財産を遺したい」などの希望があるなら、遺言書や家族信託など、「事前の準備」が必要です。

ではもうひとつ、相続が複雑になり、義理の父親の相続話が舞い込んできた例を見てみましょう。

妻を亡くしたばかりのFさんのケースです。

Fさんはある日突然、亡くなった妻の親戚からいきなり「相続の相談」を受けました。

今年の春、Fさんは妻の父親の死去、そして数日後に妻の死去という、相次ぐ不幸に見舞われました。

妻の父親が亡くなったとき、相続人は故人の配偶者である妻の母親、長女である妻、そして妻より先に亡くなっていた長男(妻の兄)の娘の3人でした(代襲相続によって、姪は妻の兄に代わって相続人となります)。

「亡くなる順番」によって「遺産の行方」は変化する

Fさんは、妻の父親とは血のつながりがないので、本来は相続人にはなりません。

しかし、妻の父親が亡くなって数日後に、相続人のひとりである妻が亡くなったため、妻の相続分を引き継ぐことになったのです。

これを「二次相続」もしくは「数次相続」といいます。

そのため、義理の父親とは血のつながりのないFさんが、亡き妻の親族と義父の遺産相続についてやりとりすることになったのです。

このケースもまた、誰が先に亡くなるかで、「遺産の行方」が変わります。

もしFさんの妻が父親よりも先に亡くなっていたら、Fさんが義理の父親の相続に関わることはなかったわけです。

紹介した2つのケースからわかるように、被相続人や相続人など、「相続に関わる人の亡くなる順番」によって、遺産の行方は変化します。

1つめのEさんのケースのように、お子さんのいないご夫婦などは、自身の財産が誰に相続されるのか、「亡くなる順番」によるさまざまなケースを想定しておき、「悔いのない相続」が行われるように準備しておくことが大切です。

2つめのFさんのケースのように、「思わぬ相続の相談」を受けた場合、まずはしっかりとした事実確認を行いましょう。

2つのケースから学ぶべきこと

相続権を行使するか、あるいは辞退するかは、自分自身で決める必要があります。

まずは相続財産の内容や相続関係についてしっかりと把握し、そのうえで判断しましょう。

また、Fさんのケースのように、直近で起こった相続であればまだわかりやすいのですが、相続発生からしばらく時間が経過している場合、「代襲相続」や「数次相続」が絡めば絡むほど、相続がどんどん複雑化するので、戸籍を丁寧に読み解いていく必要があります。

いずれにせよ、「自分の財産は誰に渡るのか」あらかじめさまざまなケースを考慮に入れてシミュレーションしておくといいでしょう。

そのうえで、希望があるなら遺言書などできちんと「自分の意思」を表明しておくなどの「準備」が必要になるのです。

松尾 拓也:行政書士、ファイナンシャル・プランナー、相続と供養に精通する終活の専門家

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