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「耳が聞こえない両親」の娘が語った複雑な本音 葛藤してきた彼女が親のことを話せるようになった訳

東洋経済オンライン / 2024年7月30日 12時0分

コーダが『親がろうなんだよね』って言っても、何の問題もない世界になってほしい」

「ふつう」じゃないことで誰も悩まない世の中になってほしいし、そういう世の中にしていきたいものです。それは、この連載「おとなたちには、わからない。」でずっと伝えようとしてきたメッセージでもあります。

想像しきれないことがまだまだ、いくらでもある

筆者はコーダについて本を読んだり映画を観たりしたことがあったので、多少はわかった気でいたのですが。でも、こうして梨奈さんに直接話を聞かせてもらうと、想像しきれていない部分がまだまだ、いくらでもあることを痛感しました。

駅で電車のドアが閉まるとき、合図が音だけなので、親はよく乗りそびれてしまうこと。

親は妊娠中、「もし視覚障害のある子どもが生まれたら、自分たちとコミュニケーションがとれない」と心配していたこと。聴者であるコーダを育てるのは、親にとっても未知なことが多いので、支援するための会もあるということ。

祖父母は聴者で手話を学んでいないため、家族で遊びにいくときは孫である梨奈さんたちが通訳をしていること。

親が家のなかで立てる大きな物音や咀嚼音が、コーダにはつらかったりすること。

卒業式のあと謝恩会に参加した親が、誰ともコミュニケーションをとることができず、ひとりでスマホをいじっているのを見たとき、胸がつまったこと――。

気付かなかったこと、見落としていたことばかりです。いままで私たちが当たり前と思ってきた世界が、ちょっと立ち位置を変えれば、ちっとも当たり前ではないことがわかります。

話を聞き終えた後、「原稿、書いてもいいかな?」と聞くと、快諾してくれた梨奈さん。帰り際は、少しすっきりした様子で手を振り、自分の道を歩いていきました。

参考
『コーダ きこえない親の通訳を担う子どもたち』中津真美 金子書房
『コーダの世界 手話の文化と声の文化』澁谷智子 医学書院

こんな体験をした人は、他にあまりいないのでは」と思うお話を聞かせてください。ジャンルは問いません。よろしければ、おおまかな内容を、こちらのフォームよりご連絡ください。

大塚 玲子:ノンフィクションライター

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