「8月以降のハリケーン米国襲来」に注意が必要だ 原油先物や株式相場は乱高下する可能性が大
東洋経済オンライン / 2024年7月30日 10時30分
今回は原油先物などの商品市場だけでなく、株式市場などにも大きな影響を与える「大型ハリケーン」について、あらかじめ警告を発しておきたい。
ハリケーンは、北大西洋・カリブ海・メキシコ湾などに存在する熱帯低気圧のうち、最大風速が約33メートル/秒以上の規模になったものを指す。通常は8月後半から9月半ばにかけて頻発するが、後述するとおり、今年はハリケーンが極めて活発な年になるとされているからだ。
「ラニーニャ現象」などで3つ以上の大型ハリケーン襲来も
早速というわけではないが、7月8日の早朝、アメリカのテキサス州南東部にハリケーン「ベリル」が上陸した。少なくとも36人以上、同州では200万を大きく超える世帯数が停電に見舞われるなど甚大な被害をもたらした。
もともとベリルは6月末にハリケーンの1つ下の区分である「熱帯性暴風雨」 (Tropical Storm) として、カリブ海の南側を発達しながら東に進んだ。その後はこの時期としては異例となる、5つのうち最も強い「カテゴリー5」 (最大風速が秒速69.7メートル以上) という超大型のハリケーンへと勢力を一気に拡大した。
ベリルは、その後も各地に甚大な被害をもたらしながら東に進み続け、メキシコのユカタン半島を横断、メキシコ本土の手前では急速に北に進路を変える格好となり、最後はテキサス州の西部に上陸。このときには「カテゴリー1」になっていたが、州南部の大都市ヒューストンやその周辺を中心に大被害をもたらした。
2024年は、昨年まで猛威を振るっていたエルニーニョ現象(太平洋赤道域の日付変更線から南米沿岸にかけて海面水温が平年よりも高くなる状態が1年以上続くこと)が衰え、代わりに、ラニーニャ現象(同じ海域で海面水温が平年よりも低い状態が続くこと)に移行していると言われている。簡単に言うと、このラニーニャ現象の一方、大西洋の赤道付近の海水温は上昇することが多く、これらの要因が重なることなどで、ハリケーンの活発化が予想されているのだ。
コロラド州立大学の調査チームは7月9日、今年に入って3回目のハリケーン予測レポートを発表した。それによると、2024年度のシーズンには名前がつけられる熱帯性暴風雨が25個発生すると予想。このうち12個がハリケーンのレベルにまで発達、さらにはこの中の6個がカテゴリー3(最大風速が秒速49.6メートル以上)以上の大型ハリケーンになるとの見通しを示している。
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