石破茂氏、国民人気抜群も広がり欠く党内支持 「ポスト岸田」総裁選出馬となれば挑戦5度目
東洋経済オンライン / 2024年7月30日 10時0分
夏以降の政局の最大の焦点となる自民党総裁選(9月20~29日の間に投開票)は、岸田文雄首相(総裁)の出処進退も絡んで、「告示直前まで戦いの構図が決まらない」(自民長老)との見方が支配的だ。ただ、現時点で「ポスト岸田」候補の中でただ1人出馬確実とされるのが、石破茂元幹事長だ。
同氏は、主要メディアなどほぼすべての世論調査で「次の首相」のトップを独走中で、国民的人気を背景に出馬への決意を繰り返している。ただ、「肝心の衆参自民議員の支持は、これまでと同様に広がりに欠ける状況」(政治ジャーナリスト)が続いており、「石破総理・総裁への展望は、極めて不透明」(同)なのが実態だ。
そうした中、裏金事件での国民の信頼失墜を踏まえ、自民党内で「政権批判」を続けてきた石破氏への待望論も拡大している。ただ、その理由は「疑似政権交代による自民の生き残りが目的で、多くの自民所属議員の反石破感情は完全払拭には程遠い」(同)との厳しい指摘も少なくない。
その一方で、岸田首相が総裁選出馬を決断した場合、「最有力対抗馬は石破氏となる確率が高く、多くの自民議員が次期衆院選での生き残りのため石破氏支持に回る可能性もある」(閣僚経験者)との見方もある。次期衆院選で当落線上とされる現職の間では、「岸田首相で選挙を戦うのは自殺行為」(若手)との反応が多数を占めているからだ。
「鳥取から新しい日本をつくる」と事実上の出馬宣言
ここにきて石破氏は、「有権者を信じて『勇気と真心をもって真実を語る』政治をやりたい」と連日のように地方遊説に勤しむ。「地方での人気は極めて高く、石破首相への期待も大きい」ことから、総裁選での地方票で他候補を圧倒するための戦略とみられ、石破氏周辺でも「勝つためにはこの方法しかない」(旧石破グループ元幹部)との声が支配的だ。
そうした中、NHKの報道によると、石破氏は7月27日の地元・鳥取県での講演で「鳥取から新しい日本を作れるよう残った議員生活をかけたい」と述べ、事実上の総裁選出馬宣言に踏み切った。そのうえで石破氏は「長い間支えてもらったおかげできょうの私がある。申し上げるとすれば鳥取で申し上げる」として、地元で正式出馬表明することも約束した。
その後、石破氏は記者団に対し「40年近く順風満帆でもない政治人生を支えてくださった方々の思いに応えることは政治家の義務だが、なぜ立候補するのかをきちんと整理して言わなければ、それは正式な立候補表明にはならない」とも語り、正式な出馬表明時には“政権構想”も明らかにする考えを示した。
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