日銀は為替を金融政策の対象に入れるべきだ このままでは金融政策への信頼が失われる懸念
東洋経済オンライン / 2024年7月30日 22時0分
日本銀行は、「金融政策は為替を対象としていない」と繰り返している。これだけ円安に国民や政治家が悲鳴を上げても、その説明はまったく変わらない。しかし、これは本当に本音なのか、それとも建前なのか?
エコノミストやメディアの人々のほとんどは、これは日銀の建前だと思っている。だから、円安が進むと、日銀の利上げが早まるかもしれない、という日銀ウォッチャーやエコノミストのコメントがメディアにあふれ出す。
「為替は金融政策の対象でない」は日銀の「信念」?
しかし、私は、これは日銀の本音であると思っている。それどころか、信念であり、絶対に譲れない、譲ってはいけないと信じているのではないか、と推測している。そして、それが現代の中央銀行の問題であり、とりわけ日銀にとっては致命的なものになりうると考えている。
なぜか。説明しよう。
まず「為替は金融政策の対象でない」という考え方は、成熟国における現代の中央銀行の役割としては教科書的なものだ。
実際、植田和男日銀総裁もそう繰り返し述べる。例えば、2024年3月27日の衆議院財務金融委員会で、植田総裁は、「金融政策は為替相場を直接コントロールの対象としていない」「為替政策は財務省の所管と理解している」と答え、そして、為替は「経済、物価に重要な影響を及ぼすひとつの要因」と述べた。これは、まさに現在の日銀の模範的な回答だ。
つまり、金融政策の目的は、経済、物価であり、為替はその経済と物価に影響を及ぼすから、アメリカの経済が日本経済に影響を与えるのと同様に、重要な要因だが、金融政策の決定においてはあくまで外部的な環境要因として扱うということである。
実は、この議論の構造は、金融政策の対象である経済と物価の関係に似ている。よく知られているように、FED(アメリカ中央銀行)には、物価の安定と雇用の最大化という2つの使命(デュアルマンデート)がある。
日銀にとっての金融政策は「物価一辺倒」
一方の日本は「物価の安定を通じて経済の健全な発展に資する」という建て付けになっている。となると、日銀にとって、金融政策は、景気の微調整ではなく、あくまで物価、一義的には物価一辺倒になる。
そうなると、金融政策における経済の位置づけは難しくなる。なぜなら、21世紀に入ってから、コロナショックで物価が急上昇するまでは、インフレ率が低い水準で安定していたから、景気刺激を金融緩和で行うことができた。つまり、金融政策は景気刺激を目的とし、インフレ率は、単なる制約条件となり、インフレ率が大幅に上がらなければ、金融緩和をいつまでも存分にやっていい、というような状況となった。
この記事に関連するニュース
-
FX個人投資家の期待は、円安?円高? 最新ドル/円ポジション状況
トウシル / 2024年11月20日 10時3分
-
政策調整は「経済・物価・金融情勢次第」、低い実質金利を強調=植田日銀総裁
ロイター / 2024年11月18日 11時45分
-
米インフレ懸念でFRBは利下げに消極的。今週のドル/円は4円の円安。来週のドル/円は160円か
トウシル / 2024年11月15日 9時58分
-
インタビュー:日銀の利上げ、段階的に1%までは「許容範囲」=立憲・階議員
ロイター / 2024年11月14日 16時20分
-
日本株は「徐々にレンジを切り上げる展開」を予想 ~先月の金融市場の振り返りと見通し【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月7日 9時50分
ランキング
-
1副業を探す人が知らない「看板広告」意外な儲け方 病院の看板広告をやけにみかける納得の理由
東洋経済オンライン / 2024年11月23日 19時0分
-
2【独自】所得減税、富裕層の適用制限案 「103万円の壁」引き上げで
共同通信 / 2024年11月23日 18時57分
-
3ローソンストア100「だけ弁当」第12弾は「イシイのミートボール」とコラボした「だけ弁当(イシイのミートボール)」
食品新聞 / 2024年11月23日 20時40分
-
4《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン / 2024年11月23日 16時15分
-
5ドーミーイン系4つ星ホテル「3300円朝食」に驚愕 コスパ最高、味も絶品!極上のモーニングがここに
東洋経済オンライン / 2024年11月23日 8時40分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください