1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

「たった2行のはがき」で癒やせる"老親の孤独" ポストに投函するまでに5分もかからないはず

東洋経済オンライン / 2024年7月31日 16時0分

そこで、「心の掃除」をお手伝いするつもりで、話しかけてあげてください。たったひと声かけるだけでよいのです。私はこれを「1ミリの優しさ」と呼んでいます。

聖書には「人が独りでいるのはよくない」(創世記 2章18節)という言葉もあります。

また、孤独というものは、人の免疫力をあっという間に弱めてしまいます。かつての阪神・淡路大震災後、避難所で生活を送る高齢者たちには、はっきりとした違いがありました。

たとえ被害の程度が浅くても、面会者がない高齢者は、多くの面会者が訪れる高齢者よりも、病気にかかりやすかったり、沈んだ表情でいることが多かったそうです。孤独にならないことこそ、心と体を健やかに保つコツなのです。

さりげなくてもいいので、周囲の年長者には温かく優しい言葉をかけたいものです。「最近、調子はどう?」という簡単な言葉で十分なのですから。

誤解している人が多いのですが、「弱っている人が喜ぶ言葉」というのは、「大変だね、どこが痛むんだい?」などと医者の問診のような言葉ではありません。会話はなかなか弾まないものですし、気が晴れることもありませんから。

昔話をするのは、とてもよいことです。たとえばあなたの両親に言葉をかける場合。

「お母さんのあのおかずは、おいしかった」「私が子どもの頃、お父さんは、よく公園に連れていってくれた」という具合です。

年長者には、自分が元気だった昔の話を好む人が多くいます。手柄話、自慢話、武勇伝など「過去の栄光」を思い出してもらい、いい気分になってもらうのも、相手の心の掃除の手助けになるはずです。

1通のはがきが無限の幸福につながることも

でも、人間というものは長時間話しているうちに、遠慮もなくなり、話し相手のありがたみも薄れ、つべこべと言いたくなってくるものです。

「なんだか会話がグチっぽくなってきたな」と感じたら、相手の話に同意しながら、こちらはのめり込まず、反論しないようにしましょう。

「この人は心のお掃除をしているのだ」と思って、言わせてあげます。

相手の話を受け流すにはコツがあります。どんなグチも「掃除機が吸い取ってくれている」と思えば聞き流せるものです。相手の言葉をさえぎったり、反論をするのは「掃除のじゃま」になってしまいます。

大切な人となかなか会えないときは、はがきを出してみるのも手です。若い世代ははがきよりも、スマホのメッセージのほうが多いでしょうが、受け取った人の手元に残るはがきはとてもいいものです。

はがきは面倒と感じる人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。大きく2行書くだけで大丈夫です。たとえば「お母さん、元気ですか。私は元気です」という感じに。

もしくは、この先に楽しみを感じてもらえるような明るい言葉を贈りたいものです。言霊には、計り知れない力がありますから。

こんな文章でもいいでしょう。

「町でどら焼きを売っていました。今度、一緒に食べようね」

あなたにとっては、はがきを買うところからポストに入れるまで、ものの5分もかからないことでしょうが、相手にとっては、一生の宝物になるかもしれません。そのとき、あなたの「1ミリの優しさ」が、誰かの無限大の幸福となるのです。

鈴木 秀子:「聖心会」シスター

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください