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千里中央、北大阪急行延伸で「地盤沈下」進むのか 終着駅から中間駅になったニュータウンの中心

東洋経済オンライン / 2024年7月31日 7時30分

建物の老朽化は、同時期に建てられた旧・千里大丸プラザと千里阪急も同様である。前者は2023年4月に営業を終了し、現在は解体もほぼ完了。後者は現在も営業を続ける一方、千里セルシーなどと一体での再開発に向けて検討が始まっている。さらに、東側に立つ千里阪急ホテルは2025年度末ごろの閉館が発表されており、エリア全体が大きく変わろうとしている。

建物が次々閉館、将来は?

ただし、その動きははかばかしくない。コロナ禍による消費の冷え込みも影響し、2023年度中に予定していた再開発事業の認可は延期された。地元の豊中市は、地域一帯の道路付け替えやバスターミナルの再編を含む交通広場の整備なども段階的に実施し、10年程度で事業を完了するとしているが、現時点で見通しは立っていない。

人々の流れが変わり、箕面萱野エリアの存在感が増すなか、商業施設の閉館が長引けば、千里中央エリアの“地盤沈下”は避けられないだろう。

もっとも、この状況下で奮闘している施設もある。北急の駅直上に位置する専門店街「せんちゅうパル」は、テナントの入れ替わりがあるものの現在も活気があり、再開発エリアの外にあった「よみうり文化センター」は複合商業施設「SENRITOよみうり」へと姿を変えた。

両施設は、北急の駅とその南側にある大阪モノレールの駅とを結ぶ直線上にあるが、大阪モノレールの利用者数はコロナ禍の影響を除けば増加傾向で、この付近のにぎわいは変わっていないように見える。

となれば、千里中央エリアで今求められているのは、箕面市が延伸区間の周辺でそうしたように、豊中市が主導して再開発計画を推し進めることではないだろうか。終着駅ではなくなったものの、モノレールで大阪国際空港(伊丹空港)へ直通できるという強みは不変だ。

再び脚光を浴びるには…

また、千里阪急ホテルの閉館でエリア内の宿泊施設は皆無となるが、周辺には空港だけでなく大学のキャンパスや万博公園などもあり、宿泊のニーズは少なくない。

コロナ禍や人口減少などによって民間事業者が慎重となっている今こそ、行政が強力にイニシアチブを取るべきであり、箕面萱野や万博公園の大型商業施設が活況を呈するなか、街が生き残るための最善策であろう。

筆者を含め、北摂エリアの住民にとって“せんちゅう”は買い物や遊び、デートなど、なんでもできる場所だった。10年後、新たな姿となった千里中央が、再び存在感を発揮していることを願う。

伊原 薫:鉄道ライター

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