「ダイエット薬」実はあまり知られてないメリット 生活習慣病の治療パラダイムが変わっていく
東洋経済オンライン / 2024年7月31日 10時0分
セマグルチド治療が、糖尿病以外の原因による慢性腎臓病を予防できるかは未知だ。もし予防できるならば、健康上の意義は大きく、今後の研究が待たれる。
睡眠時無呼吸症候群が改善する
睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は、寝ている間に舌が気道を塞ぎ、呼吸ができなくなることで睡眠の質が低下する。睡眠不足となり日中の眠気を催すだけでなく、高血圧や糖尿病、心血管病のリスクが上昇する。10秒以上呼吸できない状態を無呼吸とし、1時間あたりの無呼吸や低呼吸の回数を無呼吸低呼吸指数「Apnea-Hypopnea Index(AHI)」と呼び、5回未満が正常で、それ以上が軽症、15回以上が中等症、30回以上が重症に分類される。
私の外来ではOSAS検査と治療をおこなっているが、中にはAHIが60や70というような超重症の方もいる。持続陽圧呼吸「Continuous Positive Airway Pressure (CPAP)」という呼吸をアシストする機械を装着して寝るのだが、治療開始してから「ドーピングみたい」に体が楽になったと喜ばれることが多い。日本では中等症以上のOSASの患者は900万人いると推定されており、そのうち治療を受けているのは90万人ほどであり、多くの人が適切な診断や治療を受けていない。
肥満はOSASの大きなリスク因子であり、日本人での研究によると、OSASの人はBMIが26程度であり、OSASのない人が約22であることと比較すると、体重の多い人がなりやすいと言える。肥満を改善するとOSASは改善するが、GLP-1作動薬はどの程度有効なのか?
日本を含む世界各国で実施した臨床研究では、糖尿病治療薬「チルゼパチド」により52週時点までに体重が20%近く低下し、AHIが30回ほど(63%ほど)少なくなることがわかった。プラセボ群では1時間あたり5〜6回(5〜6%ほど)低下したのみで、ほぼ変わらず。OSASは主にCPAP治療を行うが、減量することで気道が開きやすくなり、気道にかかる圧が低く済み、不快感が減るため有効だ。なかにはCPAP治療が不要になる人もいるだろう。
注意しておきたいのは、日本人のOSAS患者の4割ほどは肥満でなく、日中の眠気を感じない人が男性では2割いることが報告されており、肥満でないから無呼吸でない、とは限らない。寝ている間にいびきをかく人は、OSAS治療の心得がある医師に相談してみることをお勧めする。
GLP-1作動薬は膵炎のリスクを上げる
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