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しまむら「パパ貶す服で大炎上」への強烈な違和感 「パパなら皮肉ってもいい」風潮は未だに存在?

東洋経済オンライン / 2024年7月31日 21時45分

そんな、しまむらグループのバースデイが、なぜ「炎上不可避」の商材を扱ってしまったのか。そこには、ブランド特有の事情が考えられる。謝罪をめぐる反応を見るとわかるように、インスタグラムにおける「しまむらコミュニティー」は、他のSNSとは若干異なる。そこにヒントがあるのではないか。

しまむらを一躍ファストファッション大手に導いた要因のひとつに「しまパト」がある。「しまむらパトロール」の略で、店頭に並んでいる掘り出し物を見つけて、SNS投稿することを指し、企業も公式に使っているフレーズだ。これがインスタグラムを中心に広がり、コスパ志向の風潮と「映え」、そして宝探しのゲーム要素が掛け合わさって、しまむら人気の原動力となった。

しかしながら、そうしたインスタ偏重の考え方が、世間とのギャップを生んでしまった可能性はないか。バースデイの公式インスタグラムの投稿動画では、今回のコラボ商品が「ユーモアあふれるデザイン」「かわいらしいフレーズ」と紹介されていた。謝罪投稿に並ぶ擁護コメントを見ても、「映え」や「エモさ」に寄り過ぎた結果、炎上に至った印象が拭えないのだ。

公式投稿の削除は、余計な延焼リスクを生む

しまむらグループは、SNS時代を背景に成長してきたからこそ、炎上は避けなくてはならなかったし、そのセンサーを持っておくべきだった。Xで多く言及されていた「なぜ企画が通ったのか」といった疑問は、筆者も同感だ。アパレル業界屈指の大企業で、このような企画が通ってしまうことに、強い違和感を覚えてしまう。

とはいえ、発売翌日に中止を決めたのは、全国展開するチェーン店としては比較的迅速だったと言える。バースデイは324店舗(2024年2月期末)を展開しており、各商品を店頭から回収するとなると、かなりの労力と損失が発生するだろう。

ただ、「延焼防止」の観点で、評価できないこともその後に生じてしまった。コラボ商品の紹介ページとSNS投稿の両方が削除されてしまったことだ。多くの炎上事案では、謝罪とともに投稿が消され、後から騒動を知った人は「なにが問題視されたのか」に行き着くまで、それなりの手間を要する。

また投稿削除は、「問題をなかったことにしたいのでは」と、疑念を招く温床にもなる。SNSでは「消せば増える」が合言葉だ。削除で不信感が増すことにより、第三者による画像転載が増加することを指し、さらに企業側がコントロールしづらくなる。

「発売中止のお詫び」の投稿をトップに固定したし、これでいいだろう……と思ったかは定かではないが、公式投稿の削除は、余計な延焼リスクを生むだけだ。

城戸 譲:ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー

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