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ジム・ロジャーズ「世界恐慌への懸念は消えない」 再びトランプ大統領になったらどうなるのか

東洋経済オンライン / 2024年8月1日 10時30分

「ブロック経済によって国同士の溝が深まっていくなかで、小さな誤解が生まれ、それが大きくなって戦争の引き金になる可能性があります。大きい戦争がはじまってしまえば、もはや戦争から抜け出すことはとても難しいでしょう。しかも、最初は戦争に意欲的だった人たちも、いずれは戦争に対して否定的になります。それでも戦争からは簡単には抜け出せません。戦争は、いとも簡単にはじまってしまうものなのです。ブロック経済はその引き金になる可能性があるという意味で、とても危険です」

11月5日のアメリカの大統領選挙が迫ってきました。6月27日のジョー・バイデン大統領とドナルド・トランプ前大統領のTV討論会が行われ、7月13日にはトランプ氏の暗殺未遂事件が起きたこともあり、アメリカ国内や市場は「もしトラ」から「ほぼトラ」になりました。しかし、その後バイデン大統領が選挙からの撤退を表明。カマラ・ハリス副大統領が候補となる可能性が高まり、選挙戦は混沌としています。

では、トランプ氏がもう一度大統領になったらどうなるか、その影響を討論会の前に聞いています。ロジャーズ氏はこう言います。

「トランプ氏を心配しているのは日本人だけではありません。アメリカ人を含めた世界の多くの人々がトランプ氏を心配しています。トランプ氏が大統領になっても、そのうちのいくつかの政策は問題なさそうです」

「しかし彼は、私たちがしばらくの間、行かなかったような新しい方向へと、アメリカや世界を巻き込むでしょう。(駆け引きとして使っている言葉かもしれませんが)NATO(北大西洋条約機構)からも脱退するかもしれません。彼が言うことは、良いことかもしれないし、悪いことかもしれません。過去数十年間、従来のアメリカがリードしてきた路線とは、世界はまったく違う方向に進むでしょう」

再び世界恐慌が来たらどうなるのか

「また、彼が関税をかけてきた場合、それは多くの人々にとってマイナスになります。多くの経済問題は、関税率の上昇や保護主義によって引き起こされてきました。実際、20世紀の大恐慌の原因のひとつは関税でした。アメリカは特にそうでしたが、他の国もそうでした。行きすぎた保護主義が世界恐慌を引き起こしたのです。もしまた同じようなことが起これば、アメリカの株式市場はもう手遅れになってしまうでしょう」

「世界中が保護主義に走れば、大きな問題を抱えることになります。誰もが大きな問題を抱えることになるでしょう。保護されている人々は、しばらくの間、経済が活性化したように見え、気分が良くなるかもしれません。しかし、それ以外の人たちは幸せになれません」。

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