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8月開始「ながら見の動画配信」日本に定着するか 次々流れてくる番組を受動的に見るスタイル

東洋経済オンライン / 2024年8月1日 10時0分

福崎社長はこのTV Stickを「お弁当の箱」と表現する。動画サービス以外でも、保険関係や医療系など、載せたいサービスをピックアップして提供できる。

「日本初のFAST」もこのTV Stickで展開する。既存の利用者がいて、その上にFASTが乗っかる形。だから2つ目の疑問、今から普及させられるかで言えば、すでに顧客を持つ状態なのでゼロスタートではないというのが答えだ。よくできていると思う。

展開するチャンネルは、8月20日の正式スタート時には10チャンネル。「時代劇チャンネル」はスカパーやケーブルテレビに時代劇を提供する日本映画放送が運営する。「キャンプチャンネル」は、名古屋テレビが制作する人気キャンプ番組「ハピキャン」を軸に運営。JTBが提供する旅チャンネルや、YouTuber事務所UUUMが運営するエンタメチャンネルもある。

チャンネルは番組の権利を持つCP(Contents Provider)がBBMにポンと渡すのではなく、CP側がチャンネルの運営も託されチャンネルキュレーターと呼ばれる。動画配信サービスができるとCP事業者たちが番組を売ろうと動くものだが、この「日本初FAST」は番組を購入してくれるわけではない。

パートナーがユーザーを増やし、チャンネルキュレーターが番組を流し、得られた広告収益をBBMも含めた3者でシェアするという、少々複雑だがユニークなビジネスモデルだ。パートナーとしては既存のレオパレスや大阪ガスのほかにも考えられる。

わかりやすいところではケーブルテレビ局が想定できる。契約者と直接つながっているのでTV Stickを勧めやすい。陰り始めた多チャンネルサービスに代わる商材になる可能性がある。TV StickにはFASTとは別に、医療サービスやECなどさまざまなサービスも搭載できるので、ケーブルテレビがユーザーに地域に根ざしたメニューを提供することも可能だ。

日本初のFASTはアメリカのFASTとはまた違う新しいサービスと言える。FASTと言っていいのかとも思うが、アメリカでもFASTの定義は曖昧になりつつあるので気にすることもなさそうだ。

「今さら感」の懸念もありつつも、今後に期待

ユニークなBBMのFASTだが、取材して懸念点も浮かんだ。

FASTは「好みのチャンネルを選べる」ことに価値があり、アメリカのFASTは1サービスに何百ものチャンネルがある。BBMは10チャンネルからのスタートだが、今後どこまで増やせるか。というのは、日本はアメリカと違って配信と放送で著作権が分かれており、また番組流通市場も存在しない。いまだに「放送型」から業界が脱却できていないのだ。そんな中で、チャンネルを増やすのはかなり難しいだろう。

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