営業中の「会話の沈黙」を怖がってはいけないワケ お客さまの話をじっくり聞く「傾聴」が大切
東洋経済オンライン / 2024年8月2日 18時0分
「今月のノルマが足りない」「あと1件受注しなければ……」。数字に追われるあまり、不都合なことを隠したり、小さな嘘をついたり、「悪い営業」をしてしまうという人は少なくありません。
『正直営業のすすめ』を上梓した鈴木誠さんも、不動産販売の会社に勤めていた会社員時代、悪い営業をしてしまっていたといいます。しかし、不都合なことは隠さずに本音を伝えるスタイルに切り替えたところ、成約率がぐんと上がり、さらにはお客様から感謝され、紹介をもらえることが増えたそうです。
この記事では、同書から一部を抜粋し、紹介が途切れない営業パーソンのコミュニケーション術について紹介します。
話を引き出す傾聴の魔力
悪い営業をしていた会社員時代の私の営業テクニックの1つが、一方的に話しまくるというものでした。
「この物件のここがいい」「あそこがすばらしい」……。その物件のおすすめポイントを弾丸トークで一気にまくし立てて、お客さまに決断させるのが得意技でした。いいところばかり並べることで、おすすめできないダメな部分にお客さまの目がいくのを防ぐ。そんなごまかしの効果もありました。
しかし、正直営業に目覚めてからは、ひたすらお客さまの話をじっくり聞く=「傾聴」に徹底的にこだわるようになりました。
どういう生活をしたいのか、仕事やプライベートを含めてどんな人生を送りたいのか。話し手の主役はお客さまです。面談の時間はお客さまが自分の考えを話す時間にほとんどを費やします。
正直営業のよさに気づいた頃、お客さまの話を聞くことの大事さを悟って、コーチングを学んで資格も取得しました。
残念ながら、今となっては学んだことをあまり覚えていないのですが、そのときの学びの中でも、傾聴が自分の中に無意識に残っていて、相手の話を聞く姿勢が身についているのかもしれません。
相手の話を聞くときに、つまずきやすいポイントとしてあるのが、「会話と会話の沈黙に耐えられない」ということです。相手が考え込んだりして時間の空白ができたとき。どうにかしてその時間を埋めようと、次々と質問を投げかけたり、自分の意見を話し始めたり……。
気持ちはわかりますが、その会話の沈黙を恐れないことから始めてみてください。
沈黙が生まれたら、それはとても価値がある時間なのです。その時間があることで、お互いがいったん冷静になって考えることができますから。
逆に沈黙を埋めようと焦ってしまうと、余計なことを言ってしまって相手が気分を害したり、冷めてしまったりもします。特に「とりあえず」とか「何でもいい」というように、焦って適当な言葉を口にするのはNGです。
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