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「空間で読む新聞」日経が示した斬新なアイデア Vision Pro用『日経空間版』作者を直撃

東洋経済オンライン / 2024年8月2日 8時0分

それにしても日経は、まだ決して大きなユーザーベースが見込めないVision Pro専用のアプリを、どういう意図で開発したのだろうか。

「最初は『まず試しに作ってみよう』ということで開発をスタートしました」と、猪飼氏。「すでにiPhoneやiPad用の日経電子版アプリはありましたし、バックエンドのサーバーも同じものが利用できます。なので、『どんな体験を作れるか?』という部分にフォーカスして開発しました」

Vision Pro用のアプリはiPhone、iPad用のアプリとベース部分を共用する。例えばiPad用『日経電子版』の紙面を空間に浮かべて見るだけなら、特段新たな開発を行わなわずとも実現できる。

「Vision Proならではの体験とは何か?」ということが開発のテーマとなった。

俯瞰と深掘りを両立させた体験

猪飼氏は「せっかく作るならVision Proに最適化したいと考えた」と語る。空間コンピューティングの考えを、いかに上手く取り入れるかにフォーカスした。

「スマホやタブレット、パソコンは、ディスプレイという枠の中にコンテンツを表示しますが、Vision Proは空間全体を使えます」と尾崎氏。「空間コンピューティングとして視野全体にコンテンツを配置できる。そこが大きな違いです。これまでのデジタルコンテンツでは、俯瞰してコンテンツを選ぶのが難しかった。空間コンピューティングによって、俯瞰と深掘りを両立させられる。そこが大きな特徴です」

日経空間版には、『Paperium (ペーパーリウム)』と『StoryFlow (ストーリーフロー)』の2つの表示が用意されている。

『ペーパーリウム』は、“ペーパー”と“プラネタリウム”を組み合わせた造語。紙の新聞を視界一面に広げたように表示する新たなUIを提案している。そこからVision Proの視線入力機能を利用して、読みたい紙面に目線を合わせ、タップ(空間で人差し指と親指を、くっつける操作)すると、記事の見出しやテキストを拡大表示できるようになっている。一覧性、紙面での位置やサイズ、フォントなど、紙の新聞の特性を見事に再現しながら、デジタルならではの利便性を付加している。

ちなみに、公開された日経空間版を体験した人からは、「『ページ』ではなく、『見開き』ごとに表示してほしい」という要望が数多く寄せられたそうだ。もちろん、見開き表示は今後の機能として計画に入っているが、『Vision Pro発売日のローンチ』を優先するため搭載を見送った。今後のアップデートで実装予定だという。

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