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精神科医が解説「幸せを感じている60代」の共通点 悪い記憶から生じる感情をどう断ち切るべきか

東洋経済オンライン / 2024年8月2日 11時0分

今や人生100年時代といわれますが、人生は短いものです。年をとるたびに時間が早く過ぎるとは、よく聞く言葉です。ですから、大事なこの一瞬一瞬を過去や未来にとらわれることなく、今を生きてほしいと思います。そのための方法を考えていきましょう。

「忘れてもいいこと」はどんどん忘れよう

世の中には「そんなことも覚えているのか」という人と、「そんな大事な出来事も忘れてしまったのか」と驚く人に分かれます。中年になっても学生時代のことをよく覚えていて、「あいつに本を貸したのにいまだに返してくれない」とこまごました記憶を今でももつ人がいる反面、「本を貸したって? 覚えていないや」という人もいます。あなたはどちらのタイプですか。

私たちの脳のキャパシティは人それぞれ違いますが、古い記憶をため込んでいる人というのは、粘着質な傾向があります。こだわりが強すぎると、目の前の新しいことにチャレンジできないかもしれません。

人間は忘れる動物です。たくさん覚えてたくさん忘れます。そのなかであなた自身がつくられていくといっていいでしょう。忘れてもいいようなことは忘れていく。あなたのまわりではどんどん世界は変化していきます。そちらを楽しんで新しい経験を記憶してほしいのです。

そうはいっても、なかなか忘れられないこともあります。それはたいてい、なんだか胸が痛くなるような悪い記憶だったりします。その記憶があなたの元気を奪っている場合があります。

記憶は心と強く結びあっています。もちろんすべて脳が行っている仕事なのですが、心は感情と考えてください。感情は脳にこびりつきやすいものなのです。

人間の感情はやっかいなものです。怒りや妬み、嫌悪などの感情をもち続けることは、あなた自身の人生をつまらなくさせる要因です。

ある男性は、中学生のときに無実の罪で教師から強く叱責され、弁明を聞いてもらえず、悔しい思いをしたことがあるそうです。それ以来、教師を信用しなくなって、反抗的になっていきました。

感情と事実を切り分けてみる

すでに30代となり今は落ちついて仕事をしていますが、いまだに学校というものが苦手だそうです。この男性が「こんど結婚をするのだけれど、子どもができたら、自分は学校とうまくやっていけないかも」と先のことを悩んでいました。

このように感情と事実が融合している状態を「フュージョン(fusion)」といいます。嫌な感情から、ひとりの教師のことを全体の教師像にしてしまっています。そのうえ、まだ生まれていない子どものことまで心配しています。

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