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日本が「金利ある世界」に戻り、損する人と得する人 預金と住宅ローン以外にも大きな影響が及ぶ

東洋経済オンライン / 2024年8月2日 8時0分

多くの金融機関では、変動金利に「5年ルール」を定めています。これは、金利が上昇しても5年間は毎月の返済額が変わらないというルールです。さらに、5年経過後の6年目からの毎月の返済額は、それまでの返済額の125%の金額までしか上げることができないという「125%ルール」があります。

つまり、どんなに金利が上がっても、向こう5年間は毎月の返済額が変わりませんし、その後の返済額の増加は限定されます。この「5年ルール」「125%ルール」をもって、「慌てて固定金利に借り換える必要はない」とアドバイスする専門家が多いようです。

しかし、勘違いしてはいけないのは、「5年ルール」「125%ルール」はあくまで激変緩和措置であって、総返済額を減らす仕組みではないことです。ローンは返済期限までに完済する義務があり、金利上昇によって生じた未返済分は、ローン契約の終盤に返済を求められます。

当面は返済負担が小さくとも、給料が減り始めた50代・60代になって大きな金額の返済を求められると、返済不能に陥るリスクがあります。

変動金利を選択する人は、固定金利よりも低い金利で返済額を減らしたいと考えているでしょう。しかし、人生の終盤に返済不能で自己破産するリスクを考えると、資金的に余裕がない人ほど固定金利への切り替えを検討するべきです(余裕があったらその必要はありません)。

「保守的だ」と批判を受けるかもしれませんが、住宅ローンに人生を賭けるというのはまったく馬鹿げているというのが、筆者の考えです。

金融資産・住宅ローンがなければ影響はない?

では、金融資産も住宅ローンもない(もしくは少ない)という人は、今回の金利上昇は「関係ない」のでしょうか。そうとは言えません。勤務する業種・企業によって借入金が多い・少ないがあり、影響は大きく異なります。

借入金が多い業種、たとえば、電気・不動産・鉄道などにとっては、金利上昇によって支払利息が増え、減益要因になります。また、一般に金利が上昇すると為替が円高に振れるので、インバウンドや輸出が多い製造業にとっても減益要因になります。減益になると、賃金の引き下げ圧力が働きます。

とくに影響が大きいのが不動産業です。支払利息の負担増だけでなく、ローン金利上昇で国民の住宅購入意欲がしぼむと、大打撃です。不動産業は異次元の金融緩和でこの10年間、空前の活況を呈していましたが、今回の利上げが一つの転換点になるかもしれません。

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