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超簡単「自作つゆ」で絶品、そうめん美味に食べる技 麺のポテンシャルを最大に引き出すコツを伝授

東洋経済オンライン / 2024年8月3日 11時30分

今回は「そうめん」をおいしく食べる方法を伝授します(以下、写真はすべて筆者撮影)

料理の腕を上げるために、まず作れるようになっておきたいのが、飽きのこない定番料理です。料理初心者でも無理なくおいしく作れる方法を、作家で料理家でもある樋口直哉さんが紹介する『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』。今回は夏の定番「そうめん」です。つゆを自作します。

そうめんは特有のコシがある「手延」がおすすめ

夏の定番そうめん。油そば風に調味料で和えたり、冷やしラーメン風にしたり……とさまざまなアレンジがありますが、改めて基本のそうめんをご紹介します。定番の食べ方にはやはり定番たりうる理由があるからです。

【写真で解説】暑い夏にさっぱり!超簡単!そうめんの「おいしいつゆ」を自作する方法

まずはそうめんの選び方から。

そうめんには「機械式」と「手延式」の2種類があります。後者はパッケージに手延麺や手延という表記があるので区別できます。最近は機械式にもおいしいそうめんはありますが、つゆだけでシンプルに味わう場合はやはり特有のコシがある手延がおすすめです。

そうめんは製品によって太さが異なります。例えば播州そうめんの代表格である揖保乃糸で比較してみましょう。

右がスーパーでも一般的に買える上級、左が贈答用のスタンダードとなっている特級です。特級のほうが麺が細いことがわかると思います。

麺の太さは上級が0.70〜0.90mm、特級が0.65〜0.70mmとわずかな違いですが、食べるとこの差は誰でもわかります。例えば肌に髪の毛が触れていても気づかないかもしれませんが、口であればすぐに違和感に気づきます。人間の口は繊細なのです。

そうめんをおいしく食べるには「つゆ」も重要です。家にあるめんつゆを適当に薄めて食べている、という方も多いと思いますが、ここに難しさがあります。

めんつゆは一般的にしょうゆ、みりん、砂糖などをあわせた「かえし」にだしを加え、アミノ酸などでうま味を調整してつくりますが、市販品はさまざまな料理に使えるようにかえしの割合が多めなのです。そのため、種類によっては麺のポテンシャルが引き出せないことがあります。

そうめんは高い=おいしい……わけではなく、大事なのは「つゆと麺の相性」。麺が細くなるほどかえしの量を減らし、だし感を強めるのがセオリーです。麺が細いそうめんはつゆをよく絡むので、塩分を抑えて、だし感を強めたほうがおいしく食べられます。

つゆの割合は「だし4:しょうゆ1:みりん1」

基本のそうめん(材料2人分)
そうめん    4束
万能ねぎ    適量
しょうが    適量

●めんつゆ
水       200ml
薄口しょうゆ  50ml
みりん     50ml
鰹節      10g
昆布      5g程度

まずはめんつゆから作っていきます。そうめんつゆの割合はだし4:しょうゆ1:みりん1が基本。今回は揖保乃糸の「上級」に適しためんつゆをご紹介しますが、麺が細い場合はだしの割合を5に増やす、かけだしにして冷やす場合は10にするなど調整します。

すべての材料を小鍋に入れ、中弱火にかけてゆっくりと加熱していきましょう。

みりんのアルコール分を飛ばす必要があるので、沸いたことを確認しましょう。アルコールの沸点は78℃なので、ゆっくりひと煮立ちすれば大丈夫です。

ザルでこして、絞ってください。ボウルの底を氷水に当てて急冷します。

急冷するのがポイント。かつお節の香り成分は揮発性なので、温度を一気に下げて香気成分を残します。冷えたら清潔な容器に移して、冷蔵庫で保存しましょう。細菌が増殖する温度帯(10〜60℃)を早く通過させることで、保存期間も伸びます。

食べる直前に薬味を準備します。薬味の役割は風味付けですが、淡白な味わいのそうめんに変化を与える役割もあります。

おろししょうがもチューブとおろしたてでは香気成分がまったく異なります。おいしいそうめんを食べたいのであればここで手間をかけたいところ。

準備が万端に整ったら、いよいよそうめんをゆでていきます。揖保乃糸(上級)の場合、推奨のゆで時間は1分30秒。そうめんをゆでるときには含まれる塩分を希釈するために、たっぷりの水が必要です。

そうめんは生地をつくるときにたくさんの塩を加えて練るので、それを希釈させるためにたっぷりの水が必要です。ゆでることによって塩分は20%以下になり、さらに洗うことで5%以下まで減らすことができます。

再び沸いてきたら火を弱火に落としましょう。昔の料理本にはそうめんをゆでる場合には「再沸騰したら差し水をする」と書かれています。

差し水とは沸騰した時点で加える冷水(別名、びっくり水)のことで、ふきこぼれを防ぐ役割があります。差し水は熱源がかまどと薪、あるいは七輪と炭だった時代の名残で、現代では火を弱めれば済むのでわざわざ準備する必要はありません。

ゆで上がったらザルなどで水気を切り、流水で冷まします。

粗熱がとれたら両手で揉み洗いします。そうめんは生地の表面に油を塗りながら、糸状に延ばしてつくるのですが、よく洗うことでその油分を落とすことができます。

最後に氷水でそうめんを冷やします。あまり冷やしすぎてもおいしく感じない、と言われていますが、この時期は暑いので意識的によく冷やしましょう。

そうめんを器に盛り付けたら出来上がり。薬味とつゆを添えてください。つゆを自家製にすれば最高においしい夏の涼味に出会えます。

ところでそうめんを盛り付けるときは「水気を切って盛り付けるパターン」と「盛り付けたところに氷水を張るパターン」の2通りがあります。そうめんの味を優先するなら余分な水を吸わない前者ですが、今回は後者を採用しています。後者はより涼しく味わえるというメリットがあるからです。

そうめんはいろいろとアレンジできますが、ふつうに味わうのもやっぱりいいもの。いろいろと工夫して、厳しい暑さを乗り切りましょう。

おまけ

めんつゆをとった後のかつお節は味が抜けているので煮出す意味はあまりありませんが、昆布にはまだ味が残っています。そこでかつお節と昆布に水500mlを加え、中火にかけ、沸いてきたら弱火に落とし3〜4分煮ると薄いだしがとれます。濾して、みそ汁などに使ってください。

樋口 直哉:作家・料理家

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